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太平洋戦争に投入された戦費は天文学的数字。すべては日銀の国債引受で賄われた

 

 太平洋戦争の終結から68年が経過した。太平洋戦争の政治的、外交的な背景や経緯はこれまで幾度となく議論されてきたが、経済的な側面についてはあまり焦点が当たっていなかった。
 太平洋戦争にはどの程度の戦費が投入され、日本経済に与える影響はどのくらいあったのだろうか?日本の安全保障をめぐる環境が大きく変化している今、戦争の経済的な側面に関する知見がより重要になってきている。

 太平洋戦争(日中戦争を含む)に投入された戦費総額は当時の金額で約1900億円といわれている。
 日中戦争開戦当時の国家予算(一般会計)は27億円程度であり、戦費総額は国家予算の70倍を超えている。GDP(当時はGNP)比では8.5倍の規模であり、現在の状況に当てはめると4000兆円もの国費を投入した計算になる。

 もっともこの中には、占領地域に設立された日本の国策金融機関が現地通貨を直接発行して用立てた戦費が含まれている。アジア各国はこの影響でハイパーインフレになっており、実質ベースではもっと少なかった可能性もあるが、いずれにしても天文学な数字であることは間違いない。

 この金額を日清戦争や日露戦争と比較すると太平洋戦争の無謀さが分かる。日清戦争の戦費は約2億3000万円、日露戦争の戦費は約18億円であった。GNP比では、日清戦争が0.7倍、日露戦争は0.6倍である。大きな出費とはいえ、無理のない範囲で戦争を実施している。
 特に日露戦争の戦費については、ほぼ全額、当時の金融中心地であったロンドンで調達されている。今で言えばゴールドマン・サックスといった一流の投資銀行が日本の戦費引受のディールに参加しており、金融市場とのコミュニケーションは完璧であった。日露戦争に勝利できたのは、日本海海戦や奉天会戦の勝利に加え、こうした金融面のサポートがうまく機能したからである。
 これに対して太平洋戦争は国力の範囲を完全に逸脱している。日本の2倍以上の戦費を投入したにもかかわらず、GDPの3倍程度のインパクトしかなかった米国に対して勝ち目がないのはある意味で当然の結果であった。

 国内で調達された戦費のほとんどは日銀による国債の直接引き受けで賄われた。現在の量的緩和策を際限なく実施したようなものである。このため戦時中からインフレが進み物価の高騰が進んでいる。終戦を迎え、貨幣価値の消滅は準ハイパーインフレという形で顕在化したが、戦時中から比較すると消費者物価は100倍近くまで上昇した。
 皮肉なことに、このインフレの結果、国債で調達された戦費の実質的価値は大幅に減額された。最終的にはインフレという形で国民の資産をすべて犠牲にして戦費の帳尻が合ったことになる。

 米国は戦後、ベトナム戦争やイラク戦争という大きな戦争を遂行しているが、それぞれの戦費はGDP比で10分の1程度であり、経済的に大きなインパクトはない。現代の戦争はハイテク化が進んでおり、経済力との相関性はますます高まっている。経済力のある国が、より有利に戦争を進められるという状況は今後さらに加速しそうである。
【関連記事】
戦争と経済の真実-戦争にはどのくらいお金がかかるのか?」(The Capital Tribune Japan)
太平洋戦争当時、株価はどう動いたのか?」(The Capital Tribune Japan)

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