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7月の貿易統計は赤字拡大。そろそろ貿易赤字を前提にした産業政策を議論すべき時

 

 財務省は8月19日、7月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆240億円の赤字となっ た。6月は赤字幅が大きく減少していたが、7月に入って状況は一転、7月としては過去最大の赤字となった。赤字は13カ月連続となる。円安と猛暑の影響でエネルギー輸入額が増加したのが主な原因。

 輸入額は前年同月比19.6%増の6兆9860億円となり、増加は9カ月連続。一方、輸出額は前年同月比12.2%増の5兆9620億円にとどまった。輸出も増加したが、それ以上に輸入が増大したことが、貿易赤字を拡大させた。
 もともと夏場は冷房需要などでエネルギー消費が増加しやすい環境にある。ただ季節調整済みの数値を見ても、赤字幅が拡大していることを考えると、必ずしも猛暑による影響だけとは言いにくい部分がある。やはり円安によって輸入価格が増大している影響が大きいようである。

 日本が恒常的な貿易赤字体質になってから1年以上が経過した。当初はJカーブ効果に代表されるような、単なるタイミングのズレが問題であり、いずれ円安の効果が輸出にも及び、収支は改善するとの希望的観測が支配していた。だが日本の製造業の競争力は着実に低下してきており、輸入の伸びに対して輸出が追いつかない状況が続いている。
 ここ半年、円安の進展で輸出金額は増加してきたが、数量は減少が続いている。7月の統計を見ると数量減少が下げ止まった兆候も見られるが、一方で価格も低下している。つまり日本メーカーは値引き販売を強いられている可能性が高く、もしそれが事実だとすると、輸出が振るわない状況は今後も継続する可能性が高い。

 ただ、輸出が振るわないことはそれほど悲観する事態ではない。日本はすでに成熟国家のフェーズに入っており、大量生産型の製造業で途上国にキャッチアップされるのは、必然の流れだからである。それは日本の経常収支の状況にもあらわれている。日本の貿易赤字は拡大しているが、国の最終的な収支である経常収支は黒字を維持している。それは日本がこれまでに蓄積した膨大な外貨の運用益が増加しており、貿易赤字を上回っているからである(本誌記事「貿易赤字だが経常収支黒字の傾向は変わらず。日本は「成熟した債権国」の段階に入った」参照)。

 今後しばらくは、貿易赤字を投資収益がカバーする状況が継続する。むしろ重要なのは、競争力をなくした途上国型の製造業を保護したり復活させることではなく、小康状態が続く間に日本の産業構造を転換することである。高付加価値型以外の製造業からは撤退し、やがてやってくる債権取崩し時代に備え、外貨を呼び込みやすいよう国内の金融市場を整備する必要がある。またサービス産業を中心とした内需企業を育て、雇用の受け皿にする必要もあるあろう。

 いまのところ政府の成長戦略は輸出を回復させることに主眼が置かれており、従来型の価値観に大きく支配されている。事態の進行に気づくのは早ければ早い方がよい。すでに輸出産業は、かつての農業のように政治力を使って保護的政策を維持するという、排他的業界に変貌しつつある。本当に輸出強化が国是なのか、そろそろ国民的な議論を始める時期に来ているといえるだろう。

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