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成長戦略に関する議論を大胆に整理してみると・・・・話は意外と簡単だった

 

 アベノミクスにおける3本目の矢である成長戦略の迷走が続いている。当初、成長戦略は小泉構造改革に近い規制緩和路線が中心となる観測があったが、産業競争力会議では官僚主導の特定業界支援策が台頭。だが市場からの評価が今ひとつだったことから、投資減税など減税策に主軸が移り始めたものの、法人税の減税観測が出てくると政府は慌ててこれを否定している。

 成長戦略はまさにアベノミクスの成否を分ける重要な施策である。だが成長戦略という言葉は非常に抽象的であり、誤解を産みやすい。そもそも経済政策にはどのような種類があり、その中で成長戦略はどのように位置付けられるのかもう一度整理してみる必要があるだろう。

 乱暴に言ってしまうと景気対策としての経済政策は基本的に3種類しかない。それは財政、金融、構造改革である。表現を変えたところで、最終的に3つのいずれかに収束してくることになる。景気対策について考える場合には、言葉に惑わされず、この3つのどれに属するのかを考えれば、そのメリットとデメリットを比較検討することが可能だ。

 財政はよく知られているように政府が公共事業などの形で民間に仕事を発注してそれを呼び水に景気を拡大させようというものである。アベノミクスでいえば、2本目の「機動的な財政政策」がこれに該当する。財政政策の利点は即効性があることだが、現在の日本では弊害の方が大きくなっている。日本は戦後、一貫して財政政策を続けてきたが、90年代からそれが効果を発揮しなくなり、膨大な政府の借金だけが残ってしまったからだ。

 金融政策は財政に頼らない方法として近年多用されている政策である。金融政策の基本は金利を下げて、市中に出回るお金を増やすという方法である。だがバブル崩壊以後の日本やリーマンショック以後の米国や欧州では慢性的な低金利となり、これ以上金利を下げられない状態になっている。そこでにわかに注目を集めたのが、中央銀行が国債を買い入れる量的緩和策である。これがアベノミクスの1本目の矢である。
 量的緩和策は中央銀行が直接を現金を提供するので、金利操作よりも効果が大きい。だが一方でやり過ぎるとインフレを引き起こす危険性がある。

 3つめは構造改革である。制度疲労を起こしている経済システムを強制的に再構築させるため、規制を緩和して競争を促進するというものである。広い意味で企業の基礎体力を上げるという点で減税策もこの政策に分類することができるだろう。日本のように経済が硬直化して不況を引き起こしている国には効果が高いとされており、小泉政権の時代に導入が試みられたが、各方面からの強い反発で事実上導入を断念した経緯がある。
 構造改革は一種の劇薬である。その効果が大きい反面、短期的には企業倒産が続出し、失業者も増えることから、目に見える形での「痛み」が最も激しい政策といえる。

 果たして成長戦略はこの3つのどれに属するのかが問題となる。小泉構造改革の司令塔であり、現在、産業競争力会議のメンバーでもある竹中平蔵氏が主張しているのは、明らかに3番目の構造改革である。
 一方、官民一体となって輸出企業を支援するという政策パッケージが官僚主導で提示されているが、これは予算措置を伴っており、どちらかというと1番目の財政に分類される。最近、台頭している減税論は、一応3番目の構造改革に入るといってよいだろう。
 要するに成長戦略に関する議論とは、財政政策なのか構造改革なのかという議論に整理できそうである。構造改革の中で、お金がかからず劇薬なのは竹中氏型の構造改革であり、税収減という形で間接的に財政支出が伴い、影響がマイルドなのが減税ということになる。
 もし成長戦略が輸出振興策にとどまるならば、アベノミクスは厳密には3本の矢ではなく、2本の矢ということになる。

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