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ヘーゲル国防長官が中国の常万全国防相と会談。着々と進む米中のアジア戦略交渉

 

 ヘーゲル米国防長官は8月19日、米国防総省で中国の常万全国防相と会談した。ヘーゲル国防長官は「豊かで責任のある中国の台頭を歓迎する」とし、今後、安全保障面で両国が目指す方向性について対話を進めていく方針であることを明らかにした。また2014年に開催が予定されている環太平洋合同軍事演習(リムパック)に中国を公式に招待した。

 米国と中国はアジア太平洋地域における安全保障面での議論を着々と進めている。2013年4月には、米軍制服組のトップであるデンプシー統合参謀本部議長が北京を訪問し、習近平国家主席と会談している。その後に行われた米中首脳会談では、アジア太平洋地域における両国の安全保障上の役割分担について、オバマ大統領と習氏の間で突っ込んだ議論が行われたとみられている。近く、ヘーゲル国防長官も訪中の予定となっており、話し合いはさらに具体化してくる可能性が高い。

 米国は中東からアジアに軍事力をシフトするいわゆる「リバランス戦略」を進めている。また米国政府は財政再建を急ピッチで進めており、今後軍事費は大幅に削減される見通しとなっている。このため海外に展開する米軍は、従来のような常駐型の配備形態ではなく、より柔軟性の高い形態に変わっていく可能性が高い。海兵隊の沖縄からの撤退もその流れの延長線上にある。
 一方中国は、南シナ海や東シナ海における海洋権益を国是として掲げており、これらの海域での制海権確保を狙っている。日本や韓国に大量の軍隊を常駐させる米国の従来戦略では、中国とは完全に敵対関係となるが、米国の方針転換によって、中国とは必ずしも敵対しない関係に変貌した。

 米中の安全保障に関する交渉は、南シナ海と東シナ海における制海権について、両国が互いにどの程度認め合うのかというせめぎ合いになる。両国は今後、軍事活動の相互通知システムの構築、軍事活動に関する行動ルールの策定などを目指していくという。
 米国は沖縄からの海兵隊撤退に伴い、日本の自衛隊に同様の機能を肩代わりしてもらうことを望んでいる。防衛省が7月に発表した防衛大綱の中間報告にも海兵隊的機能の増強が盛り込まれた。米国と中国が安全保障の役割分担について合意に至った場合には、日本の自衛隊に対しては、その枠組みに沿った形での米軍への協力が求められることになるだろう。場合によっては中国との関係性についてもそこで規定されてしまう可能性がある。

 日本の安全保障政策はこれまで「対米追従」などといわれてきた。「追従」であるのかどうかはともかく、日米同盟を安全保障の基軸とする従来の政策を継続するのであれば、米国と中国との交渉内容は日本の安全保障の将来に極めて大きな影響を与えることになる。

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