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GDPギャップは依然マイナスのまま。供給過剰な状態は本当に一時的なものなのか?

 

 内閣府は8月22日、4~6月期におけるGDPギャップがマイナス1.9%になったと発表した。GDPギャップとは、実際のGDP(国内総生産)と潜在的なGDPの差を示しており、この数字がマイナスになっているということは、供給が需要を上回る供給過剰な状態であることを示している。

 日本のGDPギャップは実はバブル崩壊以降、長期にわたってマイナスが続いている。1996年や2007年など一時プラスに転じた時期があったのみである。最近はマイナス幅が縮小しつつあるが、日本が一貫して供給過剰な状態にあることは間違いない。
 GDPギャップの数字は、あくまで現在のGDPと潜在的なGDPの差分がマイナスになっていることを示しているにすぎない。
 本来あるべき経済成長に対して現在はたまたま需要不足になっているのか、それとも経済の基本構造が変化してしまったため、存在する思われていた需要はすでになくなっているのかは分からないのだ(潜在GDPはあくまで過去のデータを元に推計されている)。
 現在の景気対策のほとんどは、経済の仕組みは変わっておらず、本来持っているべき成長余力を生かし切れていないという前提で組み立てられている。

 もっとも単純なのは公共事業など直接需要を作り出す政策である。GDPギャップ分に相当する公共事業を実施すれば、理論上簡単にGDPギャップは埋まるはずである。
 そこまで露骨ではないにせよ、アベノミクスの成長戦略で重要な位置を占めている輸出振興策といった特定産業支援策も同じ考え方に立脚している。従来の経済構造や企業のビジネスモデルが変わっていないという前提で物事が組み立てられているのだ。
 もし経済の構造が以前と変わっていないのであれば、これらの政策を実施することでGDPギャップは容易に埋まってきたはずである。だが大型の公共事業はもちろん、個別産業の支援策も以前から行われてきたが、ここ20年、GDPギャップはほとんど解消してこなかった。ということになるとやはり別の理由を考える必要が出てくる。経済構造が変化しているため、潜在需要が別の形で存在しているという考え方である。

 従来とは異なる新しい需要が生まれているのだとすると、従来型産業をいくら支援してもGDPギャップは埋まらない。新しい需要がいつ、どのようにして生まれるのかは事前に予測することができないため、これに対応するためには、企業が新しいビジネスに積極的に取り組むための環境整備が必要となる。環境整備というと聞こえはいいが、新規事業には多大なリスクを伴う。このため既得権益を持つ大企業はなかなか取り組みにくいのが実態であり、結局のところ、競争を推奨しイノベーションを活性化させるという痛みを伴う政策が必要になってくる。

 現在、大型公共事業の効果で日本経済は比較的高いGDP成長率を実現している。また景気循環的なタイミングからいっても回復局面にあると考えてよい。だがこうした表面的な部分で経済成長を実現しても、本当の需給ギャップが存在している場合には、いずれ景気は腰折れしてしまう。
 経済の構造変化に伴う深刻な需給ギャップが存在しているのかは、今のところはっきりとは分からない。だが公共事業や輸出振興策といった耳に心地よい経済政策ばかりに目が行き、経済構造の変化という、あまり聞きたくない事態に対して目を背けているのであれば、それは憂慮すべき事態といえる。

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