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マック原田社長の事業会社社長退任が象徴する、日本経済の隔絶された環境

 

 日本マクドナルドホールディングスは8月27日取締役会を開催し、原田泳幸会長兼社長が傘下の事業会社である日本マクドナルドの社長退任を決定する。次期社長は米マクドナルド本社から迎え入れ、原田氏は持ち株会社のトップとして、経営戦略全体に専念する。同社はこれまでの原田社長を中心とした体制から米国本社主導の体制に変わる可能性が高い。

 原田氏は、アップル日本法人のトップから業績不振のマクドナルドに転じ、同社をV字回復させた実績を持つ。
 不採算のフランチャイズ店を閉鎖し体力のある事業者に集約、ロイヤリティ収入を 拡大させた。また、商品ラインナップも見直し、「100円マック」などの目玉商品を投入すると同時に、客単価を引き上げ、収益力を改善させてきた。だが競争激化から2012年12月期には減益となり、今期の見通しも減益に下方修正するなど、業績の伸び悩みが目立つようになってきている。
 同社は米国のマクドナルド本社が50%の株式を保有しており、米国本社の意向が経営を大きく左右する。事業会社という現場のトップに米国本社の人間が就任するということは、原田氏の業績に対して米国本社が十分に満足してない可能性を示している。

 だがこれは原田氏の経営手腕に対する評価の違いというよりも、日本市場が世界市場からあまりにも隔絶された環境にあることの象徴といえる。
 原田氏は2004年の社長就任以降、業績不振で赤字を垂れ流していた同社を再建し、飽和市場の中で売上げを30%増加させた。日本基準で考えれば卓越した経営者といってよいだろう。だがグローバル基準ではそのようには映らない。
 原田氏が就任した2004年から現在までの9年間で、米国のGDPは30%増加している。他の先進国も同様であり、新興国の成長率はもっと高い。マック本社の売上げは同期間で45%増加しているが、上場企業のほとんどは最低でもこの水準の成長を株主から強く求められることになる。
 これに対して日本のGDPは同期間で5%も減少している。市場が5%減っていく中で売上げ30%増加は大きな成果かもしれないが、グローバル基準ではまったく評価に値しないのだ。

 同じような状況は、日本アイ・ビー・エムでも起こっている。日本が順調に経済成長していた時代は、日本IBMはIBMグループの優等生と言われ、独自の権限を多く付与されていた。だが世界的にIT市場が大きな伸びを見せる中、日本IBMは売上げを伸ばせず、最近ではグループ全体のお荷物となってしまった。長く続いた日本人社長の慣行はなくなり、現在は外国人が社長を務めている。

 外国人社長が本社からやってきて、テコ入れをするということは、まだ市場の潜在力に対する期待が存在することを示している。だが世界経済の中で日本市場だけが横ばいという状態が続けば、日本市場そのものを見限ってしまう可能性もあるだろう。そもそも20年間もGDPが横ばいだったというのは世界的に見ても異常事態といってよい。原田氏の事業会社トップ退任は、日本経済そのものの象徴と考えた方がよいだろう。

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