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大学の研究支援政策に変化の兆し。旧帝大中心は変わらずも、配分は実績重視へ

 

 大学など研究機関に対する国の支援方法に変化の兆しが出てきている。文部科学省は8月6日、研究大学強化促進費による支援先として、22の大学や機関を選定した。研究水準が高く、世界的な成果が見込めるというのがその理由だ。

 これまでも文科省は、研究支援政策の中核となっている科学研究費補助金(科研費)を特定大学に重点的に配分する政策を実施してきた。だが科研費の配分先は、東大、京大、大阪大、東北大といった、いわゆる旧帝国大学に圧倒的に偏っていた。
 過去の実績に縛られた硬直した支援制度に対して疑問の声も出ていたことから、文科省は一時「トップ30」大学の育成策を打ち出したことがある。だが「旧帝国大に有利」であるとして、地方大学や私立大学が猛反発し、研究ごとの助成に改めた経緯がある。
 今回の研究大学強化促進事業は、以前提唱したトップ30大学構想の焼き直しであり、当初は従来と同様、旧帝大を中心に同じような研究費配分が行われるとみられていた。だがフタを開けてみると、基本的な図式は変わらないものの、国際的な論文引用数や産学連携の進展状況など、より現実的な実績を評価した内容となっており、大学関係者にとってはちょっとした驚きとなっている。

 評価結果で最高点を獲得し4億円の支援費を獲得したのは、東京大学、京都大学、東北大学、名古屋大学の4校。いずれも旧帝国大ではあるが、これまで科研費の獲得では京都大学に次ぐ実績を持っていた大阪大学が順位を落とし、名古屋大学が最上位グループに入った。東北大学は現状をを維持した格好だ。
 科研費の獲得では比較的上位に位置していた千葉大学が対象からはずれていることや、豊橋科学技術大学や奈良先端科学技術大学など、工学系大学が高い評価となっていることも特徴的だ。

 日本の基礎研究能力は相対的な低下が進んでいるといわれている。研究開発に対する投資が少ないことが原因ともいわれているが、必ずしもそうでもない。日本は米国に次いで2番目に多くの金額を研究開発費に投じているのだ。日本 の研究成果が乏しいという話が本当なら、それは配分の方法が不適当なのか、研究組織の体制に問題があるということになる。
 わずかではあるが、研究費の配分に変化が生じたことは、この原因を探るひとつの手がかりになる。実績をもとにした研究費配分が定着した後、研究成果に目立った違いが表れてくるのか、それともあまり変化は生じないのか。もし変化が少ないようであれば、大学の体制再構築も課題として浮上してくることになるかもしれない。

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