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英議会がシリア軍事介入を否決。介入に消極的なオバマ大統領には追い風だが

 

 シリアへの軍事介入をめぐる状況に変化が生じ始めている。これまでは、英仏が介入を強く主張していたものの、肝心のオバマ大統領自身が消極的という図式であった。メディアでは軍事介入は時間の問題というリーク記事が多数流され、オバマ大統領は次第に外堀を埋められつつあった。
 だが、英国のキャメロン首相は8月29日、英議会の反対を受けて突如態度を一変。軍事介入を断念する意向を示したことで、オバマ大統領には少し追い風が吹き始めた。

 英仏は中東問題で主導権を握りたいという政治的思惑があり、当初から軍事介入には積極的なスタンスであった。だが米国内では軍事介入について意見が分かれていた。オバマ政権は中東からアジアへと軍事力をシフトする「リバランス戦略」を進めており、中東への関与をあまり望んでいない。

 一方で、米国の政界には従来型の中東重視の外交スタイルを望む声も根強く残っている。米国は2020年までに国防費の対GDP比を40%も削減するというかつてない規模の軍縮を進めており、防衛産業は窮地に立たされている。中東への関与を望む声にはこうした背景もあると考えられる。

 米国のメディアによる世論調査では軍事介入に対して反対する意見が賛成を上回っている。だが英仏や米国内から介入を求める声が日増しに高まっていたことで、オバマ大統領は外堀を埋められた状況になっていた。

 だが英国の議会が軍事介入を求める政府の動議を反対多数で否決。これを受けてキャメロン首相が介入を断念する声明を発表したことで、状況が変わってきた。欧州メディアの報道では、英国民の約7割が、仏国民の6割が介入に反対もしくは慎重なスタンスだという。英国の介入断念によって、フランスの方針にも影響を与える可能性が出てきた。

 もっとも軍事面での準備は最終段階に入っている。米国はすでに地中海に派遣していた駆逐艦4隻に加え、もう1隻の駆逐艦を現地に配備した。また空母トルーマンとニミッツの2隻を近海に移動させた。またフランスのフリゲート艦も米艦の護衛のため現地に展開している。基本的に米軍は巡航ミサイルを中心とした空爆を実施する方針といわれ、攻撃準備はほぼ整ったと考えられる。

 英国の方針転換によって軍事介入がなくなると見るのは早計だが、少なくとも介入に慎重なオバマ大統領の立場が強くなったことは事実だ。仮に介入が実施されるにしても、大幅に規模を縮小するなどの措置が取られる可能性も出てきたといえる。

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