ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

デフレ脱却が鮮明になってきた7月の消費者物価指数。だが内実は輸入インフレ?

 

 総務省は8月30日、7月の全国の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合」は前年同月比でプラス0.7%となった。上昇は2カ月連続で、2008年以来の水準。先月はプラス0.4%だったことを考えると、物価上昇が鮮明になってきたといえる。

 今年1月から7月までの期間で物価が上昇した品目は20となった。5月は16品目、6月は18品目だったので価格が上昇した品目が着実に増えている。全体としては物価上昇傾向が鮮明になっていると解釈することができるだろう。

 だが個別品目を見てみると、状況は必ずしも良好とはいえない。値上がりした品目のほとんどが円安による輸入価格上昇によるものとなっている。
 7月までの間で物価上昇率が高かった品目は、電気代、AV機器、ガス代、家電、自動車、旅行、履き物などである。これら7品目のうち自動車を除くとすべてが円安による影響が極めて大きい商品である。
 景気回復が期待されての物価上昇であれば、内需関連の品目も上昇することになるが、今のところは円安による影響しか顕在化していないことが分かる。
 また肉類や外食、油脂など上昇率はまだ小さいが、生活必需品への価格転嫁も徐々に進んでいる。そろそろ物価上昇が生活実感として認識されて始めてもおかしくない。

 もちろん円安で輸入価格が上昇しても、輸出産業が潤うことで設備投資が活発になれば、経済成長に結びついてくる。だが輸出は円安によって金額ベースでは何とか増加を維持しているが、数量ベースでは伸び悩みが続いている。円安の効果が数量の伸び悩みによって相殺されてしまっているため、製造業はそれほどの活況になっていない。

 このままの状態が続くと、企業は輸入価格の上昇を賃金抑制でカバーしようすることになり、物価の上昇に比して賃金が上昇しない可能性が出てくる。そうなってしまうと、物価の上昇はただの生活苦をもたらすだけの結果に終わってしまう。

 アベノミクスがデフレ脱却を実現できるかという課題については、その中身はともかくとして、ほぼクリアしそうな状況となってきた。アベノミクスに対する評価は、デフレ脱却が健全な経済成長に結びつくのかという次のフェーズにシフトしつつある。そしてこのテーマこそが、アベノミクスにとってもっとも重要な部分といえる。アベノミクスはいよいよ正念場を迎えつつある。

 - 政治, 経済 , , ,

  関連記事

gwcvn73
握手と蹴り合い。防空識別圏をめぐる単純ではない米中交渉の行方

 米国のバイデン副大統領は日本訪問に引き続いて、12月4日から中国を訪問する。中 …

kokintou
胡錦濤グループが急速に巻き返し。広東省と重慶市のトップは自派で固める

 中国共産党の政治局常務委員の選出で劣勢に立たされていた胡錦濤前共産党総書記のグ …

seiyujo02
政府による上からの構造改革がスタート。弊害はないのか?

 茂木経済産業大臣は2014年6月10日、石油業界の再編を促すため、産業競争力強 …

no image
ヨーロッパ各地で独立運動が勃発。欧州統合は本当に可能なのか?

 ヨーロッパ各地で地域の独立運動に火が付いている。欧州統合とはまったく逆の流れで …

timcook
株価暴落と現金退蔵問題にも関わらず、Appleの株主総会が平穏だったワケとは?

 大幅な株価の下落と12兆円にも達する現金の保有で市場の関心を集めていた米App …

nenkin02
欧州で再び年金制度改革が議論に。日本がのんびりしているのは外圧がないから?

 債務問題を抱える欧州で年金制度を見直す動きが再び活発になってきている。フランス …

no image
FRBがQE3実施を決定。バーナンキ議長が抱く真の野望が明らかに

 米連邦準備制度理事会(FRB)はとうとう量的緩和第3弾(QE3)に踏み切る。1 …

abe
安倍総裁が国債の日銀引き受けに言及。市場は完全に「円安」を織り込み始めた

 自民党の安倍晋三総裁が、とうとう日銀による国債直接引き受けに言及した。安倍氏は …

ieren03
FRBが予定通り追加利上げを決断。内容は想像以上にタカ派で、すでに金融引き締めに転換?

 大方の予想通り、FRB(連邦準備制度理事会)が追加利上げを決定した。ただ内容は …

no image
資産家夫婦殺害事件とJASDAQ粉飾疑惑企業を結びつける点と線

 スイス在住で日本に一時帰国していた資産家夫婦が行方不明になっている事件で、2人 …