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銀行が住宅ローン金利を引き下げ。融資先が見つからない銀行の苦しい台所事情

 

 9月に入って金融機関による住宅ローンの引き下げが相次いでいる。三菱東京UFJ銀行は固定10年の金利を先月から0.2%下げて1.5%に、三井住友銀行は0.05%引き下げて1.6%とした。

 各行が金利の引き下げに動いているのは、消費増税による駆け込み需要で住宅購入者が増加し、銀行間の顧客獲得競争が激化しているからである。
 一方で、消費増税後の大幅な落ち込みや、量的緩和策の影響による資金のダブつきから、悪い条件でもローン残高を増やしておこうという銀行の苦しい事情も垣間見える。

 日銀の量的緩和策によって市場の国債が買い占められていることから、銀行は国債の残高を減らし続けている。2013年3月末に164兆円あった国債の残高は7月現在で142兆円まで減少している。量的緩和策で国債を買い上げ、金融機関の運用を国債から融資にシフトさせるという日銀の目論見は半分は成功している。だが肝心の融資は伸びていないのが実情だ。
 金融機関の融資残高は量的緩和策が始まる直前の2013年3月からほとんど増加しておらず440兆円のままとなっている。つまり銀行にとっては、いくら国債運用が困難になったからといっても、資金ニーズがない企業への貸出を増やすことができない状況であり、その中で唯一、融資残高を伸ばすことが可能な分野が住宅ローンというわけである。

 消費税増税後は住宅取得が伸び悩みむことが予想されているため、金融機関各社は、多少条件が悪くても、住宅ローン残高を増やすことに必死になっている。ローン金利の低下はこうした銀行側の事情を反映したものとえいる。
 だがマクロ的に見れば、こうした銀行の取り組みも焼け石に水である。金融機関はここ4カ月で住宅ローンを5000億円ほど増やしているが、住宅ローンの残高は115兆円もあるため、わずか0.4%の増加にすぎない。しかも貸出金全体に占める住宅ローンの割合は25%程度しかなく、全体から見れば、貸出総額にはほとんど変化がない状態だ。

 もっとも住宅ローンを組んで住宅を取得しようとしている人にとっては朗報かもしれない。量的緩和策がうまくいっても、いかなくても、量的緩和策が続けば日銀の当座預金残高は増える一方であり、少なくとも名目上の物価は上昇する可能性が高くなってきているからだ。
 だが仮にインフレが進んでも経済成長を伴わないもの(スタグフレーション)に終わってしまえば、労働者の相対的な購買力は低下してくる可能性が高い。いくら物価が上がるといっても、無理な住宅ローンはリスク要因になるので注意が必要である。

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