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GDP改定値は上ブレの可能性大。だが中身は公共事業と消費増税駆け込み需要?

 

 財務省は9月2日、4~6月期における法人企業統計を発表した。今回の数値は、消費増税の判断基準となる4~6月期のGDP改定値に大きな影響を与えることから、多くの市場関係者が注目している。

 企業の売上高は311兆6656億円となり、前年同期比で0.5%マイナスとなった。
 製造業はマイナス3.9%と4四半期連続の減収となったが、非製造業はプラス転換し1.0%の増加となった。製造業についても、マイナス幅は前期より縮小しており、楽観視はできないものの、日本企業の売上げ減少に歯止めがかかってきた兆候と解釈することも可能だ。
 ただ製造業で、前年同月比プラスとなったのは輸送用機器(自動車など)だけであり、それ以外の分野はすべてマイナスである。基本的に製造業の経営環境は改善していない。
 また非製造業においても大きな伸びを見せているのは不動産と電力ガスとなっている。不動産は消費増税前の駆け込み需要が、電力ガスはエネルギー価格の上昇を独占企業である事業者が一方的に価格に転嫁していることが主な要因であり、内需が順調に拡大しているとは言い難い。

 一方、経常利益は前年同月比で51.5%増となっており、利益が拡大している。企業は売上げが減少する中、コストを削減して利益率を高めている。資本金別では、10億円以上の企業では50%増、一方一億円未満ではマイナス12.5%となっているので、大企業が下請けへの圧迫を強め、利益を確保している様子が窺える。
 全体としてみれば、経済規模は依然として縮小しているが、大企業だけは下請けへの値引き要求で利益を拡大させ、賃金は伸び悩んでいるという状況といえるだろう。これについて、大企業だけがボロ儲けと見るか、大企業の体力が回復していると見るのかは、立場によって異なるかもしれない。

 4~6月期GDP改定値への影響が大きい設備投資については、総額8兆3106億円で横ばいとなった。ここでも製造業はマイナス、非製造業はプラスとなっており、製造業の低迷が続いていることが浮き彫りになった。また製造業の設備投資も、建設と不動産という一部の業界に著しく偏っている。建設が増加しているのは、大型公共事業による効果(2012年度補正予算を用いた総事業費20兆円の緊急経済対策)であり、不動産は消費増税前の駆け込み需要であることは間違いない。
 確かに、前年度と同じ水準の設備投資は維持した格好だが、その数字のかなりの部分は、公共事業と駆け込み需要に支えられている。

 売上げや設備投資は前年同月比でマイナスもしくは横ばいだが、1~3月期との比較という意味では、季節調整済みの数値でプラスとなっている。したがって、9月9日に発表予定のGDP改定値については、速報値から上ブレする可能性が高くなってきた。だがそれは、大型公共事業と駆け込み需要に支えられたものであり、消費税が増税となる来年度以降は、大幅に落ち込む可能性が高いことを認識しておく必要があるだろう。

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