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全世界的に製造業が回復基調。9月の量的緩和縮小の可能性が高まる?

 

 全世界的に製造業の景況感が改善してきている。米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業景気指数は55.7となり、前月から0.3ポイント上昇した。これは2011年6月以来の高い水準。前月は4.5ポイントの大幅上昇(速報値ベース)だったことから、市場では横ばいもしくは反動が予想されていたが、さらに上昇する形となった。

 欧州と中国のPMIも上昇傾向が鮮明になってきている。調査会社マークイットが発表した8月のユーロ圏PMI(購買担当者景気指数)改定値は51.4となり速報値から上方修正された。こちらも米国と同様、2011年6月以来の高水準である。

 中国の国家統計局が発表した8月のPMIは51.0、HSBCが発表したPMIは50.1となった。統計局のPMIは大規模な国営企業が中心だが、このところ景況感の境目である50を下回る状況が続いていた。だが7月には50.3となり50を突破、8月はさらに増加した。
 HSBCのPMIが50を超えるのは4カ月ぶり。HSBCの指標には中小企業のデータも多く含まれているが、景気の回復が中小企業にも及んでいることが明らかとなった。

 製造業の世界的回復で期待されるのは失業率の改善である。これまで米国は順調な景気回復を見せてきたが、唯一の足かせが欧州や中国の景気低迷の影響を受ける製造業であった。このため良好な自国経済とは裏腹に、米国の製造業は人員の増加と設備投資を抑制してきた。中国経済が失速を免れ、欧州がとりあえず底を打てば、米国の製造業は安心して設備投資を増やしたり、雇用を増やすことができる。

 米国市場では現在、FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和縮小のタイミングをめぐって神経質な展開が続いている。FRBがもっとも重視する指標は失業率であることから、製造業の景況感改善は、失業率の低下を期待させることになる。今週末には雇用統計の発表を控えているが、この数値が良好だった場合、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で緩和縮小に踏み切る可能性が高まってくる。

 シリア問題が突如浮上するなど、量的緩和の縮小をめぐっては不確定要素も多い。だが、9月なのか10月なのかという細かい時期の問題はともかく、早めのタイミングでの緩和縮小が実施されるという流れはほぼ固まったといってよいだろう。

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