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早まった?それとも大チャンス?ベライゾンのM&Aでソフトバンクに再び世界が注目

 

 米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズによる超大型買収が実現したことで、ソフトバンクの今後の動きに市場の注目が集まっている。

 ベライゾン・コミュニケーションズは9月9日、英ボーダフォンとの合弁会社で、携帯電話最大手のベライゾン・ワイヤレスを完全子会社化すると発表した。ベライゾンは合弁会社の株式を55%保有していたが、残りの45%をボーダフォンから1300億ドル(約12兆9600億円)で買い取る。

 米国の通信サービス業界では、ソフトバンクが2013年7月に業界3位のスプリント・ネクステルの買収を実施したばかり。ベライゾンは業界2位の会社だが、100%子会社とすることで、ソフトバンク進出による競争激化に備える。

 スプリントの現在の売上げはベライゾンの半分以下であり、ベライゾンの体制強化はソフトバンクにとって不利な展開に見える。確かに米国市場という観点においては、ソフトバンクによるベライゾン追撃は、難易度が上がったかもしれない。だが市場ではベライゾンに合弁会社の持ち分を売却したボーダフォンの今後について関心が高まっており、その中でソフトバンクの名前が取り沙汰されているのだ。

 ベライゾンはボーダフォンから1300億ドルで株式を買い取ったわけだが、ボーダフォン側はこのうち840億ドル(約8兆3700億円)分を株主に還元し、残りは設備投資強化に充当する方針を明らかにしている。ボーダフォンの時価総額は1500億ドル程度であったことを考えると、今回の売却はボーダフォン側にとって非常に有利であったと同時に、同社は非常にコンパクトな会社に様変わりすることになる。欧州市場の制覇を狙う競合他社にとってはこのうえない買収ターゲットに変貌したともいえる。
 ソフトバンクが買収に積極的な会社であるとのイメージがあることから、欧州市場ではソフトバンクがボーダフォンを買収するのではないかとの観測が出ているのである。

 もっともスプリントと合算したソフトバンクの売上げは7兆円程度であり、同じ規模のボーダフォンを買収することは体力的にかなり厳しい状況である。スプリントの買収で同社の財務体質はかなり悪化しており、現実的にはボーダフォンの買収は難しいと判断するのが妥当だ。だがソフトバンクの孫社長の性格や、資金がダブついている世界の証券市場の現状を考えると、ウルトラCの買収が実現する可能性も否定はできない。

 ソフトバンクはスプリントを買収するのではなく、ベライゾンによる買収を待ってからボーダフォンを買収すればよかったとの見方もできるが、そもそもソフトバンクによるスプリント買収がベライゾンによる買収を後押しした可能性があり、このあたりは何ともいえない。いずれにせよ、世界の通信業界はしばらくホットな状況が続きそうだ。

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