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政府与党内で減税論議が本格化。設備投資減税が中心だが場合によっては法人減税も

 

 9月になり、秋の臨時国会が視野に入り始めたことで、政府与党内における減税論議が本格化している。安倍首相は、10月に招集される秋の臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置付けており、産業競争力強化法案の成立と減税措置の導入を目指している。

 減税措置については、産業界を中心に、設備投資に対する部分的な減税ではなく、法人税全体の引き下げを求める声が上がっている。
 財務省は税収の大幅減少につながる法人減税には消極的なスタンスを崩しておらず、安倍政権がどの程度まで踏み込んだ減税を実施できるかは今のところ不透明な状況となっている。

 現在、政府与党内で減税措置の中核として議論されているのは設備投資減税である。
 これは企業の設備投資に対する課税を低減するというもので、設備投資が多い製造業への波及効果が大きい。具体的には企業が古い設備を廃棄し、先端的な設備投資を実施した場合に限って、即時償却を認めたり税額を控除する。
 日本はバブル崩壊以降、企業の設備年齢の上昇が続いている。古い機器を使い続けている状態であり、これを最新設備に交換させることで生産性の向上を狙う。

 ただ政府では、設備投資に関する減税適用には条件を付ける方針だ。減税措置を望む事業者は、同じく秋の臨時国会で成立を狙う産業競争力強化法に基づいて、設備投資の「実行計画」を作成し、生産性向上の目標値を明示しなければならない。企業側に課される制約条件次第では、多くの企業が減税の適用を断念することになるかもしれない。

 もうひとつが、企業が持つ償却資産にかかる固定資産税を低減するというものである。諸外国では償却資産については固定資産税を課さないところも多く、日本の税負担の重さが指摘されている。ただ固定資産税は地方税であることから、これを減税してしまうと地方自治体の税収が減ってしまう。総務省が強く反発しており、導入には困難が予想される。

 このほか、企業が業界再編を伴うM&Aを実施した場合に限って、法人税を減税するという案も検討されている。だがこちらについても、設備投資減税と同様、政府が指定した業界再編のみを対象としており、計画経済的色彩が強い内容となっている。どの程度まで指定範囲を広げるかによってその効果は大きく変わってくるため、現時点ではなんとも評価が難しい。

 産業界からは設備投資などに対する個別の減税ではなく、法人税全体の引き下げを望む声が大きい。現在の日本における法人税の実効税率は約35%となっている。仮にこれを5%引き下げたとすると、2013年度予算ベースでは約1.5兆円も税収が減ってしまう。また、赤字法人が多いという実態を考えると波及効果も限定的という意見もある。株式市場は法人減税を強く期待しているが、安倍政権がここまで踏み込むかどうかは今のところ未知数だ。
 今のところは、設備投資減税を落ち着きどころにする可能性が高い。だが消費増税が決定され、増税に伴う景気の落ち込みを懸念する声が高まってきた場合には、思い切った決断があるかもしれない。

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