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クアルコムの新しい腕時計型端末。目玉の新型液晶はシャープ技術の流用?

 

 米クアルコムは9月4日、腕時計型の携帯情報端末「toq(トーク)」を発表した。アンドロイドOSを搭載したスマホと連携して動作するウェアラブル端末(身につけるタイプの情報端末)で、価格は300ドル程度を想定している。韓国のサムスン電子もほぼ同じタイミングで同様の腕時計型情報端末を発表しているほか、アップルも近く製品を発表する予定といわれている。腕時計型の情報端末がスマホ市場で大きな役割を演じることになる可能性が出てきている。

 クアルコムのtoqは、同社の液晶技術である「mirasol」を採用しており、屋外や室内など、明るさが異なる環境でも液晶表示が見やすいことや、圧倒的な低消費電力が特徴となっている。市場ではこのmirasolにシャープの技術がどれほど使われているのかに注目が集まっている。

 クアルコムは表示が見やすく低消費電力であるmirasolの開発に8年間を費やしてきた。だが、2012年7月に同社がmirasolの開発中止を明らかにしたことで、同技術を使った製品の実用化は絶望視されていた。
 しかし、2012年12月にクアルコムがシャープに出資すると発表。クアルコムとシャープで次世代の液晶パネルを共同開発することになり、そして、今回のtoqでは一時は表舞台から消え去ったmirasolが復活したのである。

 シャープとクアルコムの共同開発の対象となっている液晶技術は、クアルコムが買収して現在は同社の子会社となっているPixtronix社のものであり、厳密にはmirasolのものとは別である。
 だが一時は中断したmirasolの技術がシャープとの提携後に突然復活していることや、シャープとの提携に関する契約内容が圧倒的にクアルコムに有利であり、場合によっては100億円でシャープの技術を売り渡したと解釈できるものであったことを考えると、シャープの技術がmirasolにも活用されている可能性は否定できない。

 今回のtoqの発表で、低消費電力・高精細の液晶パネルがクアルコムの今後の製品戦略で重要なカギを握っていることが明らかになった。ウェアラブル端末市場は、数年以内に年間数千万台規模に拡大するとの予想もある。
 シャープの技術がmirasolに流用されているにせよ、しないにせよ、ウェアラブル端末市場の急拡大が予想されている今、シャープにとっては大きな機会損失であったことは間違いない。次世代市場が立ち上がる直前という最悪のタイミングで経営危機に直面し、市場での主導権を握ることができなかったからである。

 健全な市場メカニズムが機能していれば、半年程度で経営危機対策の目処がつくはずのところを、同社は2年近くを費やして、まだ完全に解決できていない。日本の富はこのようにして失われていくのかもしれない。

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