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ゲノム研究の進展が切り開く?病気に対する総合的アプローチ

 

 ゲノム関連の研究が進んでいることで、病気に対する新しいアプローチ方法が見え始めている。これまで別々のものとして対処されてきた複数の疾患が根本的には同じ原因であったり、生活スタイルや個人の価値観といったメンタル的な部分が病気に大きく影響することがわかってきた。今後、こうした研究が進んでいけば、対処療法的ではない総合的な対応も可能となってくるかもしれない。

 今年の7月、ノースカロライナ大学などの研究チームが興味深い研究成果を発表した。意味のある人生を送っていると考えている人と、快楽など直接的な欲求を満たす傾向が強い人とでは、遺伝子の変異に違いが見られるというものである。
 人生に目的や意義を見いだしていると考えているグループは、抗ウイルス反応に関連した遺伝子が多くなり、直接的欲求が強いグループは反対に炎症反応に関連した遺伝子が優位になっているという。同時に、ストレスや恐怖といった要素が多いグループも、炎症反応に関連した遺伝子が多いという。

 ガンや動脈硬化、アトピー性皮膚炎など、これまで個別の疾患と思われてたものの多くが、実は免疫系システムを通じて相互に密接な関係を持っていることが最近の研究で明らかになってきている。
 人間の免疫系は、細菌感染など原始的な外的に対処するための炎症反応系のシステムと、ウイルスなどに対応する抗ウイルス系のシステムに大別される。文明があまり発達していない時代には、ケガや食中毒などで命を落とす危険性が高く、抗炎症系の免疫システムが優位であった。だが最近では、こうした原始的なリスクは減少していることから、抗ウイルス系の免疫システムの方が優位になっているという。

 だが抗ウイルス系の優位が行き過ぎると、アトピー性皮膚炎など、自己免疫疾患を引き起こしてしまう。また逆に、炎症系システムが強すぎると、胃炎などの慢性疾患や動脈硬化、アルツハイマーなどを誘発するといわれている。要するにこれらの疾患は免疫系システムのバランスが崩れることが根本的な原因になっており、個人の考え方や行動パターンが、遺伝子レベルでこれらに対して影響を与えているのである。

 これまで多くの疾患が個別に処理され、対処療法での治療が行われてきた。しかし、こうした疾患群に共通の要員が存在するのだとすると、本来はこの部分に対する治療や予防措置が重要なはずである。だが西洋医学は基本的に疾患の個別対応で発展してきており、こうしたアプローチ方法はあまり得意としていない。結果として、総合医療的な視点でのアプローチは、少々怪しげな民間療法が担う結果になってしまっている。

 冒頭の研究結果を乱暴にまとめれば、勝ち負けにこだわった苛烈な競争をしているビジネスマンや酒やギャンブルといった快楽追求型の生活をしている人は、細菌感染などには強いが、ガンや動脈硬化になりやすく、胃炎などの慢性疾患を抱えているということになる。一方、人生に前向きな意義を見いだすタイプの人は、ガンや動脈硬化にはなりにくいが、アトピー性皮膚炎などを引き起こす可能性が高く、細菌などの外敵に対しては脆弱ということになるだろうか?

 どちらの人生がよいかは本人の選択だが、少なくとも、どのような疾患になりやすいのかがはっきりしていれば、事前にそれなりの対応をすることができる。今後はこうした観点での治療や予防という概念がより重要になってくるだろう。

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