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8月の雇用統計は市場予想を下回るもまずまず。9月緩和縮小の可能性は引き続き高い

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)における緩和縮小の判断材料となる最新経済指標がほぼ出揃った。9月6日に発表された8月の雇用統計はやや市場予想を下回ったが、全般的に見れば良好な米国経済を反映するものとなっている。9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で緩和縮小が決定される可能性は引き続き高いと見てよいだろう。

  8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比16万9000人増となった。6月は19万5000人増、7月は16万2000人増なので順調に雇用者の数は増加している。市場予測は17~18万人程度だったことから、市場予想は下回ったことになる。

 今回の雇用統計で強気の予想が出ていたのは、このところ製造業の景況感が改善しているからだ。米供給管理協会(ISM)が9月3日に発表した8月の製造業景気指数は55.7となり、前月から0.3ポイント上昇した。これは2011年6月以来の高い水準である。前月 は4.5ポイントの大幅上昇(速報値ベース)となっており、製造業での雇用増加が期待されていた。

 製造業の景況感改善はGDPの改定値からも伺い知ることができる。米商務省が8月29日に発表した4~6月期の実質GDP改定値は、年率換算でプラス2.5%となり速報値(プラス1.7%)から大幅上方修正された。これまで米国経済は堅調な個人消費に支えられており、輸出は冴えない状況が続いていた。しかし今回の改定値では輸出が8.6%の大幅増となっており、製造業の経営環境が改善していることが明らかになった。

 こうした状況を考えると、今回の雇用者数の増加予想は期待先行で少し過大だったのかも知れない。製造業の景況感が急激に改善しているという先入観をなくせば、雇用者の増加はまずまずの数字といってよいだろう。
 ちなみに失業率は7.4%から7.3%に低下し、2008年以来の低水準となった。職探しを諦めた人が多く、失業率の低下は単に労働参加率の低下を反映しているだけとの指摘もあるが、とりあえず量的緩和策の重要な判断材料である数字は改善が続いている。

 冷静に考えれば、早い時期の量的緩和縮小が望ましいことは明らかであり、9月にもその決定を行う可能性は引き続き高いといってよいだろう。9月なのか10月なのかといった細かい時期の問題はむしろ市場へのインパクト次第である。FRBのバーナンキ議長が、株価や金利など市場価格がすでに緩和縮小を織り込んでいると判断すれば9月の緩和縮小も十分にあり得るだろう。だが市場の折り込みが不十分と判断すれば、10月あるいは12月にズレ込むことになるだろう。またシリア情勢という不確定要素もあり、このあたりは何とも判断が難しい。

 金利は7月以降順調に上昇を続けており、株価は下落が続いている。少なくとも市場価格は、早期の緩和縮小を織り込んでいるといってよいだろう。

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