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米ロ対立で盛り上がりに欠けたG20。日本は漁夫の利で切望していた日米首脳会談を実現

 

 ロシアのサンクトペテルブルクで開催されていたG20首脳会議は9月6日に閉幕した。シリア問題での米ロ対立が鮮明になる中での開催であり、目立った成果がないことは当初から予想されていた。首脳宣言にはシリアに関する言及はなく、日米など11カ国がシリア問題に対して「強力な国際的対応」を求める共同声明を発表するにとどまった。

 今回のG20は開幕当初から、米国とロシアが個別に各国と首脳会談を行い、各国の支持を取り付けるという異例の展開となった。また本国の議会対策に追われるオバマ大統領が、初日の夕食会に1時間も遅れて参加するなど、全体的にしらけたムードが漂っていた。
 安倍首相はアルゼンチンで開催されている国際オリンピック委員会(IOC)総会に参加するため会議を途中で切り上げており、後半は議論にほとんど参加していない。

 ただ日本とっては相対的にメリットの大きいG20になったと考えることもできる。それは、米ロ対立による漁夫の利で、日本側が切望してきた日米首脳会談を実現することができたからである。
 2013年2月に行われた日米首脳会談が不調だったことから、日本側は再度首脳会談を実現できるよう、米国側に何度も依頼し、そのたびに米国から断られていた。今回のG20においても日本側は水面下で首脳会談を打診したが、米国側がこれを断ったといわれている。だがG20の開催直前にシリア問題が急浮上し、米国は各国の支持取り付けに迫られる状況となった。今回の会談は米国側からの突然の申し入れで実現したものである。

 米国側はシリア問題への対応に加えて、ロシアが日本に過度に接近することを警戒したものと考えられる。初日の全体会合で安倍首相は日本の財政再建計画を説明し、経済成長と財政再建の両立を目指す方針を表明した。これについて各国から特に意見などは出なかったが、議長国であるロシアからは強く支持する発言があった。
 現在、日本とロシアは北方領土返還問題の交渉に入っている。当初ロシアは自国産の天然ガス資源を重要な交渉材料にする目論見だったが、日本に対する米国産の安価なシェールガスの輸出が始まったことで目算が狂っている。ロシアの日本に対する好意的な態度は、今後の日露交渉を念頭に置いたものと考えられる。

 オバマ大統領は、冷酷な合理主義者として知られており、会うメリットがない人物に社交辞令で面会することはほとんどないといわれる。その意味で、わざわざ米国側から会談が持ちかけられたといことは、ロシア側に対する警戒心が非常に強いことを示している。
 ただ日米首脳会談は実現したものの、日本は米国に対する絶対的支持を表明したわけではない。対ロシアという力学において漁夫の利を得ることはできたものの、日米の距離感という意味では、これまでと大きく変化したわけではない。

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