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五輪東京開催で変わる日本経済の長期的見通し。すべては2020年以後に先送り?

 

 2020年のオリンピック開催地が東京に決まったことで、日本経済の長期的見通しに変化が生じつつある。オリンピック開催のメリットとしてまず話題に上るのが経済波及効果である。東京都はオリンピック招致にあたり、その経済効果を試算している。それによると、大会運営費など直接的な需要増加が約1兆2000億円、波及効果を合わせると約3兆円となっている。

 この数字はGDPの0.6%にすぎず、マクロ的に見ればほとんど無視できるレベルである。だがこの試算にはちょっとしたカラクリがある。オリンピックに直接関係する費用しか評価の対象になっていないのだ。
 実際には、オリンピックに関連して建設される公共インフラなどがこれに加わることになり、こちらの方が圧倒的に規模が大きい。

 東京オリンピックは既存の施設やインフラを活用するため、新規に建設される施設は少ないといわれている(目玉は総工費1300億円から2000億円といわれる新国立競技場-写真)。だが関連の道路整備などを前倒しで実施するケースが出てくることや、地方での観光インフラ整備などが活発化する可能性があり、専門家の中には数十兆円の公共事業になるとの見方を示す人もいる。

 9月9日に発表された4~6月期のGDP改定値は年率換算でプラス3.8%という高い数値に上方修正された。だがこれは大型公共事業による効果(2012年度補正予算を用いた総事業費20兆円の緊急経済対策)と消費増税前の駆け込み需要であり、本来であれば、来年以降は大幅に景気が失速することになる。だがここでオリンピック向けの公共事業が継続して実施されることになると、景気の腰折れを回避できる可能性も見えてくる。

 もちろんいいことばかりではない。公共事業に依存した経済成長はいずれ大きな反動をもたらすことになる。オリンピック開催まではこれらの問題は封印される可能性が高く、顕在化してくるのはオリンピック開催以後のことになるだろう。またオリンピック開催を控え、構造改革的な痛みを伴う経済政策はさらに回避される傾向が強まることが予想される。

 ちなみに、日本政府は2020年までに政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を公約している。現在でもその公約達成は極めて難しいといわれているが、オリンピック関連のインフラ整備で国債が増発されることになれば、実現はさらに困難になる。目標達成年度は奇しくも東京オリンピックと同じ2020年であり、オリンピック開催後に、諸問題が一気に噴出する可能性を強く示唆しているともいえる。
 ちなみに日本が戦後初の国債を発行したのは1964年の東京オリンピック開催後の反動不況対策からであった(本誌記事「日本政府の借金1000兆円は、1964年の東京オリンピック開催が発端だった?」参照)。今回のオリンピック開催が、前回と同様、日本の財政構造の転換点となる可能性が高まっている。

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