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オバマ政権の目論見通り?シリアの化学兵器廃棄で攻撃回避の可能性が高まる

 

 シリアが保有する化学兵器を国際管理下に置くというロシア提案をシリア政府が受け入れたことで、米国によるシリア攻撃が当分実施されない可能性が高まってきた。

 ロシアのラブロフ外相は9月9日、シリア情勢について声明を発表し、アサド政権が保有する化学兵器を国際管理下に置くことを提案した。シリア政府がこれを受け入れたため、米国によるシリア攻撃はとりあえず土壇場で回避される可能性が高まってきた。シリア側の対応は時間稼ぎの可能性もあるが、軍事介入をめぐる情勢が大きく変化したことは間違いない。

 これはオバマ政権にとって朗報といえる。オバマ政権はもともとシリアに対する攻撃に極めて消極的だ。国内の対シリア強硬派や軍事介入を求めるフランスなどの声に押されて、オバマ大統領はやむなく軍事介入を決断した。
 だがオバマ大統領は国内世論が割れていることを逆手に取り、攻撃には議会の承認を求めると発言、上院の外交委員会は介入を支持したものの、下院での採決は危ぶまれていた。

 このようなタイミングでロシア提案が飛び出したことは、オバマ政権にとって極めて好都合である。不本意とはいえ軍事介入を決断した以上、議会に対して軍事介入を「説得する」という形になってしまう。仮に下院で介入案が否決されてしまうと、オバマ大統領の指導力に疑問符がつく可能性がある。
 だがシリアが化学兵器の国際管理を受け入れたという形であれば、攻撃を実施しない大義名分が成立する。また化学兵器に関する査察にはかなりの時間がかかることが予想され、その関にシリア問題はフェードアウトする可能性も出てくる。中東への関与を減らしたいオバマ政権としては非常に望ましい展開ということになる。

 そもそも今回のロシア側の提案も、ケリー米国務長官による「米国による軍事攻撃を回避できるとすれば、シリアが化学兵器を引き渡し、国際管理下に置いた場合だ」という発言が発端になっている。真偽の程は分からないが、米国側からこのような形になるよう仕向けた可能性も否定できない。

 オバマ政権は中東からアジア太平地域へと軍事力をシフトする「リバランス戦略」を進めている。米国は近い将来石油の自給が可能となる見込みであり、中東情勢に深く関与するメリットが低下している。引き続き、米国が中東問題に深くコミットする政策を望む声もあり、米国内では意見が分かれている。だが今回シリア攻撃が回避されることになれば、米国の中東離れはより加速することになるだろう。

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