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2000年を境に若者の意識は急激に変化した。厚労白書が示す日本社会の本質的転換点

 

 若者の意識は社会の変化を敏感に反映するといわれている。最新の厚生労働白書を見ると、若者の仕事に関する意識は2000年を境に大きく変化したことが分かる。2000年は日本社会の本質的転換点だったのかもしれない。

 厚生労働省は2013年9月10日、最新の厚生労働白書を公表した。今年のテーマは「若者の意識」で、若年層の雇用環境や職業意識などについて様々な考察が行われている。その中で、働く目的に関する長期的な調査の結果が非常に興味深い内容となっている。

 新入社員に対して働く目的を尋ねたところ、2000年までは一貫して5%程度しかなかった「社会のために役に立ちたい」という項目が2000年を境に急増、2012年には15%まで上昇した。また「楽しい生活をしたい」という項目も2000年を境に急上昇し40%とトップになっている。
 これに対して「経済的に豊かな生活を送りたい」「自分の能力をためす生き方をしたい」という項目は、逆に2000年を境に低下し、現在は20%程度まで落ち込んでいる。

 最近の若者が賃金にはこだわらず「社会の役に立ちたい」「楽しく仕事をしたい」という傾向を強く持っていることは、各種調査などですでに明らかになっている。だが2000年を境にこうした意識の変化が急激に進んだという事実は、長期的な統計を見ないとわからないものである。

 日本経済がバブル崩壊をきっかけに行き詰まってしまったことは誰もが認識している。この20年の間に、世界各国のGDPは2倍から3倍に拡大したのに対して日本はずっと横ばいのままである。円高が進んだことを考慮に入れても、相対的に日本はかなり貧しくなってしまった。おそらく2000年はこうした日本の行き詰まり感が顕在化してきた年ということになるのかもしれない。

 少し意外なのは2000年には、ベンチャー企業ブームがあったり、構造改革の機運が高まるなど、日本の高い成長にまだ大きな期待が寄せられていたという事実である。結果的に日本は大きな変化を望まず、現在の停滞状態が続いているわけだが、当時の若者はすでにこうした状況を察知していたのかもしれない。ベンチャーなど競争をポジティブに捉える社会現象をよそに、保守的なマインドは着々と醸成されていた可能性が高い。

 一方企業側の若者に対する要望はだいぶ様子が異なっている。企業が新入社員に求める資質として重視していいるのは「仕事に対する熱意・意欲、向上心」(71.2%)、「積極性、チャレンジ精神、行動力」(59.7%)など、典型的な従来型資質である。また多くの企業でグローバル型人材を強く求めているが、若者で海外就労を望まない人は6割に達する。

 日本経済が低迷した原因には諸説あるが、企業のグローバル化の遅れが大きいと指摘する声は大きい。もしそうなのだとすると、グローバル化への対応を遅らせたのは、現在の中高年世代であり、その遅れの挽回のために、若者にグローバル化を要請するのは少々スジ違いということになる。
 経済的利益を追求せず、楽しく仕事をすることを第一に考える若者の行動様式は、狡猾に立ち回る中高年世代に対する静かなプロテストなのかもしれない。だとすれば、この傾向は当分の間続き、そう簡単にトレンドを転換させることは難しいだろう。

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