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尖閣諸島国有化から1年が経過。今後のカギを握るのは米中交渉の行方

 

 日本政府が尖閣諸島を国有化してから9月11日でちょうど1年となった。中国はこの日に合わせて、海警局の船数隻を尖閣諸島付近に派遣したほか、外務省(外交部)が「主権を守る中国の決意と意志は断固として揺るがない」とする声明を発表した。

 日本政府による国有化以後、中国は延べ60回近く船を付近の海域に派遣している。ほぼ毎週、尖閣諸島に中国船が現れている計算となる。中国側としては、自国船舶の航行という既成事実を積み上げ、日本による尖閣諸島の実効支配の根拠を薄めようという意図があると考えられる。

 中国側の表現はエスカレートしているようにも見えるが、実行支配をめぐる現実的状況は1年前とほとんど変わっていない。中国は実効支配を行っている日本に対して外交的に異議を唱え、船舶を付近の海域に定期的に派遣するというレベルにとどまっている。

 中国の活動が一定の範囲にとどまっている背景には、米国との関係があると考えられる。米国の基本的なスタンスは、尖閣諸島の領有権については言及しないものの、日本の施政権は認めるというものである。また尖閣諸島は日米安保の対象範囲であることも明言している。中国が尖閣諸島の実行支配権を日本から奪取しようとした場合、日本とはもちろんのこと、米国とも紛争状態になることを覚悟する必要がある。
 米国は日本と中国のこれ以上の関係悪化を望んでおらず、中国に対しては抑制した対応をするようクギを刺している。中国は米国との関係を考慮し、現状レベルの活動にとどめている可能性が高い。

 日本はこれまで何度が中国に首脳会談開催を打診しているが、中国はこれに応じていない。日本が尖閣諸島を実行支配しているという状況に変わりはないので、中国との関係が冷え込んだままでもよいと考えるのであれば、当分の間、現状を維持するという選択肢もあるだろう。

 ただ日本にとって無視できないのは米中交渉の行方である。米国と中国は、今年6月に開催された米中首脳会談をきっかけに、アジア太平洋地域の安全保障問題に関する包括的な交渉を開始している。もし米中で一定の合意に達した場合、米国が東シナ海領域における中国の制海権を一定の範囲で許容する可能性が出てくる。その時には、尖閣諸島の位置付けについて、米側から何らかの要求が出てくる可能性もある。

 あくまで米国の意向を尊重して中国と の交渉に当たるのか、米国の意向とは関係なく中国に対して強硬姿勢を貫くのか、米中交渉の進捗次第では、日本は難しい選択を迫られることになるかもしれない。

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