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フランスで政府要人の盗聴対策が効果を上げていない本当の理由とは?

 

 フランスで閣僚など政府要人のセキュリティ対策が効果を上げていないことが問題視されている。フランスでは、米国の国家安全保障局(NSA)が、世界各国で電話やインターネットの盗聴を行っていた問題を受けて、8月に内閣官房長官名でセキュリティ対策についての通達を出していた。
 そこでは、ショートメッセージを使用しないことや、携帯電話は使わず安全な固定電話を使うことなどが推奨されていた。だが内閣のトップであるエロー首相がショートメッセージを使っているところを目撃されるなど、対策がほとんど意味をなしていないことが明らかになっている。

 2013年6月、米国のエドワード・スノーデン元CIA職員がマスコミに対して、NSAが米国民の監視を行っている事実を暴露し大きな問題となった。だが問題はそれだけにとどまらず、米国が欧州などで広範囲に盗聴を行っている事実が明らかになってきた。これを受けてフランス政府は8月、政府要人のセキュリティ対策の指針を発表していた。

 指針では、携帯電話をなるだけ使わず安全な固定電話を優先する、Gmailなどのフリーメールサービスを使わない、ショートメッセージを利用しない、USBメモリを使用しないなどの対策が示されていた。
 だが閣僚の多くが、携帯電話を手放せない状況となっており、肝心のエロー首相自身が、通達後もショートメッセージを多用していることがバレてしまった。一部からはセキュリティ対策の甘さを指摘する声が上がっている。

 確かにセキュリティに対する意識が甘いという点は事実なのだが、要人がそれほどセキュリティに対して神経質になっていないのには少しウラがある。
 スノーデン問題で広範囲な盗聴が発覚する遙か以前から、フランスも含めて各国が相手国要人の盗聴を行っているのは公然の秘密となっている。確かにインターネットの普及は、ターゲットを絞らず、マクロ的に検索の網をかけるという新しい情報収集の手法を生み出した。だがある程度ターゲットが絞られていれば、古典的な方法であれ、最新の方法であれ、盗聴を行うことは可能であり、完全にそこから逃れる手段はない。

 つまり政府閣僚は要人であり、常に盗聴のターゲットにされている。今さらスノーデン問題が発覚したからといって、盗聴に気をつけるよう通達を出してもあまり意味がないことをよく知っているのだ。その証拠に、通達を指示したエロー首相自身がショートメッセージを使っているのである。おそらく本当に重要な話には、電話やメールは使わないであろう。

 つまり、政府の通達は、セキュリティ対策を強化せよという一部の世論を考慮したポーズというわけである。こうしたセキュリティ対策を強化せよという声の背後には、各種対策で大きな利益を得ることができるIT企業やセキュリティ関連企業が暗躍していることがある。こうした世論操作もインテリジェンスの一環なのである。

 情報セキュリティの問題は、最終的には重要情報を持つ個人の意識や倫理観によるところが大きい。日本でも対策を強化せよとの声があるが、こうした動きは関連企業の利権となっている面も多分にある。セキュリティの強化は重要だが、本質を見失ってはならないことをフランスの事例は示している。

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