ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

キャリア官僚制度に地殻変動?霞が関こそ雇用流動化が必要だ!

 

 明治以来、日本の公務員制度の根幹をなしてきた人事システムに地殻変動が起きつつある。金融庁は、一度退職し外資系企業に勤務していた元キャリア官僚を中途採用枠で再雇用し、中堅幹部ポストに内定した。中央省庁を退職したキャリア官僚が元の省庁に出戻りすることは異例。また、各省においてキャリア官僚として採用された若手の退職が相次いでおり、ノンキャリアからキャリアへの昇格で人員を補充するなど、以前では考えられないような人事が続出している。

 日本の国家公務員の人事システムは、採用時の試験区分で、職務内容や昇進度合いをあらかじめて決めてしまう、いわゆる「キャリア制度」がその根幹となっている。

 幹部候補生として採用されるキャリア組はノンキャリアと呼ばれる他の職種と比較する別格の扱いだ。彼らは突出した早さで昇進し、局長や次官といった幹部ポストをほぼ独占する。キャリア組の多くは30歳台前半で課長補佐に昇進するが、ノンキャリ組が課長補佐に昇進するのは、省庁にもよるが50歳台になってからだ。

 またキャリア組の中にも厳しい「身分制度」がある。採用試験の受験科目が異なる行政官と技官では、同じキャリアといっても昇進スピードには歴然とした差がある。結局のところ、いわゆる超エリート官僚と呼ばれるのは、財務省など主要官庁に行政官として入省した一握りの文系キャリア官僚のことにしかすぎず、実際には重層的なヒエラルキー構造で組織が成立しているというのが実体である。

 このように中央官庁の人事システムはかなり硬直化したもので、柔軟性に欠けている。だがこれまでは、公務員の待遇が民間企業とは比べのもにならないくらい高かったため、人事制度に不満はあっても、キャリア、ノンキャリアを問わず、ほとんどの職員がそれを受け入れ満足していた。
 だが最近ではその状況が大きく変化している。現在でも公務員の生涯年収が民間企業と比べて圧倒的に高いという状況に変わりはないが(特に公務員の年金支給額は民間の厚生年金加入者からみれば信じられないほど高額だ)、若手のキャリア官僚を中心に、仕事の内容に満足できず退職するケースが増加している。中途採用で元職員を再雇用したり、ノンキャリアからのキャリア登用を増やしているのは、退職者の増加によって、人材が不足するケースが出てきているからだ。

  自衛隊でも異変が起きている。以前から防衛大学校の卒業生が自衛官に任官しないという、いわゆる「任官拒否」が問題視されていたが、今では卒業生の一定割合が任官しないのは当たり前となっている。

 こうした現象は、公務員の職務に対する社会のニーズや、職員の意識の変化に対して、従来型の人事システムが追いついていないことが主な原因と考えられる。回転ドアと呼ばれる米国はもちろんのこと、やや日本に近い官僚システムを持つ英国でも、民間と公務員を行き来する人は多く、これが組織の活性化に大きく貢献している。
 人事院は2012年度から従来の採用試験区分を廃止し、総合職、一般職などの新しい試験区分での採用を行っている。だが実態は、従来のキャリア制度のカンバンを掛け替えただけにすぎない。

 政府の雇用制度改革は、基本的に雇用の流動化を目指す方向性で動いているが、肝心の公務員の人事システムは、新卒一括採用、終身雇用、ヒエラルキー型という従来形式のままだ。出戻りキャリアの登場や若手の退職者増加はこうした制度の限界を示しているといえるだろう。
 公務員の人事制度が雇用流動化を前提としたものに変化すれば、民間の雇用流動化は一気に進むはずである。育休の消化などと同様、雇用制度改革は公務員の人事制度から始めるのがもっとも効果的だ。だが現政権からは、そのような声はまったく聞こえてこない。これはどういうわけだろうか?

 - 政治, 社会 , ,

  関連記事

oushukyujitu
行政が長時間労働是正に本腰。日本では欧州のような生活は定着するのか?

 このところ長時間労働を見直す動きが顕著になっている。ファミリーレストラン大手が …

ianfunozo
NY州議会で慰安婦問題が決議。米国政界に広がる危険な兆候

 米国ニューヨーク州議会上院は29日、従軍慰安婦問題について「人道に対する罪」と …

senryomap
福島原発80キロ圏内外の放射線量マップ。1年で40%の減少は多いのか少ないのか?

 文部科学省は3月1日、東京電力福島第1原発から半径80キロ圏内外で測定した昨年 …

abesenkyo201412
衆院選は予想通り与党が圧勝。ただ今後の政治日程が厳しいことに変わりはない

 第47回衆議院選挙は大方の予想通り、自民・公明両党の勝利となった。とりあえずア …

tokyu5000
東急東横線の列車衝突事故。遠因として囁かれている車両の軽量化

 東急電鉄は2014年2月15日、東急東横線元住吉駅で起きた追突事故について記者 …

koureishasigoto
働く高齢者が1割を突破。だが一方で働かなくてよい人との格差は縮小せず

 働く高齢者の割合いが就労者全体の1割に達したことが総務省の労働力調査で明らかに …

Hillary Clinton
ヒラリー氏が次の大統領選に出馬?だが共和党はもっと大きな隠し球が・・・

 米国では、2016年の大統領選挙に向けた動きがすでに始まっている。今年2月に国 …

sendaisaiban
大川小学校の津波訴訟は、日本人に自分のアタマで考えることの重要性を強く訴えかけている

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市大川小学校の児童の遺族が市と宮城県 …

fukusima03
事故後2年半で、すでにチェルノブイリ以上の発ガン率という調査結果をどう見るべきか?

 福島県は2013年11月12日、「県民健康管理調査」検討委員会において、福島原 …

nikkann
日本と韓国は仲良く三流国家?各種調査結果が示す日韓の類似性

 日本人と韓国人は互いに嫌っているとよくいわれる。2012年11月に内閣府が発表 …