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FRBが量的緩和縮小を見送り。市場にとってはまったくの「想定外」

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)は9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、量的緩和策の継続を決定した。ほとんどの市場関係者が9月の緩和縮小を予想していただけに、大きなサプライズとなった。18日のダウはFRBの決定を受けて急騰し、最高値を更新して引けた。

  FRBのバーナンキ議長は6月のFOMCにおいて、経済指標が良好であればという前提条件付きではあるものの、9月からの量的緩和縮小を匂わせる発言をしていた。実際、8月の失業率は前月より0.1ポイント改善して7.3%となり、製造業の景況感指数も上昇していたことなどから、市場は完全に9月の緩和縮小を織り込んでいた。
 だが今回のFOMCでは、まったく予想外の緩和継続となり、市場は混乱した。18日のダウ平均株価はFOMCの声明が発表された直後から急騰し、終値は15,676.94ドルと市場最高値を更新して引けた。為替市場ではドルが売られ円が急騰、午前中99ドル台で取引されていたドルは、声明と同時に一気に下落し、一時は97円台を付けた。

 バーナンキ議長は緩和縮小を見送った理由として、失業率が高止まりしていることやインフレ率が目標以下であることなどをあげた。失業率などの指標が完全に回復するまでは、多少、市場に混乱を起こしたとしても、緩和を継続するという姿勢をよりはっきりさせたというわけである。

 もしバーナンキ議長の意図をそのまま解釈すれば、名実ともに良好な経済指標が出てこない限り、緩和を継続するということになるのだが、市場関係者の中には、今回の決定が今後のFRBの選択肢を狭めてしまっていると指摘する人もいる。
 確かに米国経済の現状は、多少まだら模様となっている。良好な個人消費に支えられ内需は堅調だが、思いのほか失業率は低下していない。しかも職探しを諦めてしまった人が多く、見かけ上、失業率が低下しているだけとの指摘も多い。だが90年代の米国がそうであったように、米国の産業構造は大きく変化しており、失業率が高止まりしたまま経済が回復する、いわゆる「ジョブレスリカバリー」が発生している可能性がある。もしそうだとすると、失業率の数字は容易に改善しないことになる。
 失業率という政策目標に縛られてしまうと、いつまで経っても緩和縮小を決められず、そのうち緩和継続の弊害の方が大きくなってきてしまうことを市場関係者は危惧している。

 いずれにせよ各種経済指標が1~2カ月で劇的に改善する可能性は低く、量的緩和の縮小開始は早くても今年12月以降にズレ込む可能性が濃厚となった。株式市場からは早くも年内にダウが1万6000ドルを突破するという声も聞こえてきている。先行きに対する不透明感が増す中で、株価だけが上昇するといういびつな状態がしばらく続くことになるだろう。

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