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8月の貿易統計。貿易赤字体質は変わらないものの、輸出価格下落に歯止め?

 

 財務省は9月19日、8月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9603億円の赤字となった。先月に引き続き、円安によるエネルギーの輸入価格上昇が影響した。赤字を計上するのは14カ月連続で過去最長。日本が恒常的な貿易赤字体質になっていることをあたらめて裏付ける結果となった。

 輸入額は前年同月比16.0%増の6兆7440億円となり、増加は10カ月連続。一方、輸出額は前年同月比14.7%増の5兆7837億円だった。輸出、輸入とも増加しているが、エネルギー価格の上昇分が大きく赤字幅が拡大した。
 輸出は先月と同様、北米向けの自動車や中国向けの有機化合物が伸びている。特に自動車輸出は好調で、対米では4950億円の貿易黒字となった。一方、中国向けは電子部品の輸入が増えている影響もあり、3000億円の赤字となっている。

 輸出数量は対前年同月比で2カ月連続の増加となったが、前月比ではマイナスになっている。輸出数量の減少が完全に止まったとは言えない状況だ。ただ、輸出価格は対前年比で大幅に上昇しており、価格低下の圧力は軽減されてきた可能性が高い。低付加価値製品のアジア生産シフトによって、製品の競争力が向上していることが示唆される。

 日本はこれまで輸出不振と貿易赤字の拡大が続いてきたが、ようやくその傾向も一段落しつつある。だがこれは、赤字拡大に歯止めがかかっただけであり、今後、貿易赤字が縮小してくることは考えにくい。だが貿易赤字が続くことをあまり悲観する必要はない。
 それは、貿易赤字は続いているものの、国の最終的な収支である経常収支は黒字を維持しているからだ。日本は過去に蓄積した貿易黒字を使って外貨を運用しており、その運用益は貿易赤字をはるかに上回っている(本誌記事「貿易赤字だが経常収支黒字の傾向は変わらず。日本は「成熟した債権国」の段階に入った」参照)。

 日本はかつての英国や米国のように、工業国を卒業し、投資収益で生きていく成熟国家のフェーズに入った可能性が高い。成熟国は恒常的な貿易赤字になることがほとんどだが、しばらくの間は投資収益が得られるため、国の収支は安定する。むしろ日本が考えるべきなのは、投資立国として見た場合、日本の市場はまだまだ魅力に欠けるという点である。
 成熟国化がさらに進めば、いつかは債権を取り崩し、外国から資本を調達するフェーズに移行する時が来る。その時、日本の金融市場が魅力的でなければ、海外からの資金調達が難しくなり、相応の豊かさを享受できない可能性がある。要するに日本人の金融的なビジネスセンスが試されているのだ。

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