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シャープが最大1500億円の公募増資を実施。財務的な危機は脱することができるが・・・・

 

 経営再建中のシャープは9月18日、約1500億円の公募増資と175億円の第三者割当増資を実施すると発表した。今回、増資に成功すれば、いつ債務超過に転落するか分からないという財務危機からはとりあえず脱することができる。だが今後の成長戦略は手つかずの状態であり、本格的な経営再建にはほど遠い状況だ。

 公募増資と第三者割当増資で発行する株式は約5億株。同社の発行済み株式数の42%に達する水準で、既存株主の権利は大幅に希薄化される。
 同社は、経営が順調だった時代には50%近い自己資本比率を誇っていたが、相次ぐ巨額赤字の計上によって、現在では6%台にまで低下している。大規模な設備投資を伴う製造業としては、これはかなり危険な水準といえる。増資を実施すれば、12%程度まで自己資本比率が回復するので、財務的にはひとまず安心ということになる。

 同社では今回の増資で得られる資金を液晶の高精細化などに投じるとしているが、必ずしもそうとは言い切れない部分がある。同社は9月末に、投資家に向けて発行していた2000億円の転換社債(CB)償還が控えており、この償還原資を得るために銀行から追加融資を受けている状況だからである。今回の増資は、このCB償還分の資金を賄うためのものであると解釈することもできる。

 最大の問題は、財務的なメドはついたものの、今後の成長戦略がまったく描けていないことである。同社の経営危機が表面化した当初は、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を受けて事業を再生する計画だった。しかしホンハイ側はシャープ経営陣に厳しいリストラを要求したため、シャープ側から提携を断ってしまった。
 ホンハイは、アップルからiPhoneやiPadの製造を受託しているメーカーであり、液晶パネルというデバイスを生産するシャープとは非常に相性がよい。基本的にシャープは自力での再生は難しく戦略的提携相手が必要だが、ホンハイに代わる優良な相手がなかなか見つからない状況が続いている。

 一時は、韓国サムスン電子と複写機事業に関する提携交渉を行っていたが頓挫し、米クアルコムとの提携も限定的なものにとどまった。今回、第三者割当増資を引き受けるLIXILグループ、マキタ、デンソーの各社は、戦術的な提携相手にはなるものの、戦略的な意味での提携相手というわけではない。
 結果的にシャープは独力で今後の成長戦略を描く必要に迫られているが、そもそも独力での展開が可能であれば、現在のような経営危機にはなっていなかったはずである。このまま何もしない状況が続くと、過大な負債を抱えた低収益の液晶デバイスメーカーが、ただ存続しているという状況にも陥りかねない。

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