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日本の宇宙開発は、中韓との消耗戦を強いられている電機業界と同じ運命を辿る?

 

 日本では新型固形燃料ロケット「イプシロン」の打ち上げ成功が話題となったばかりだが、宇宙開発の先進国である米国の状況は驚くべきものになっている。宇宙技術のコモディティ化を見据え、宇宙開発事業の民間への委託が急ピッチで進んでいるのだ。

 2013年9月18日、米国の民間宇宙開発企業オービタル・サイエンシズ社 は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給船「シグナス」を搭載した搭載したロケット「アンタレス」の打ち上げに成功した。

 シグナスは国際宇宙ステーション向けの食料など680キロを搭載しており、22日にも国際宇宙ステーションにドッキングする。国際宇宙ステーションに物資を輸送する民間企業はオービタルで2社目となる。

 米国はスペースシャトル計画の終了以降、宇宙開発の民営化を急ピッチで進めている。NASA(米航空宇宙局)本体は火星探査など難易度の高いプロジェクトに専念し、衛星の運用といった事業は基本的に民間にアウトソースする方針である。アポロ計画の全盛期、NASAには連邦政府予算の4%を超える巨額の資金が投じられていたが、現在は0.5%を切る水準まで低下している。

 米国が宇宙開発の民営化を進める背景には、宇宙技術の急速なコモディティ化がある。ITの急速な発展により、他の技術と同様、宇宙技術や軍事技術もコモディティ化が急速に進んでいる。
 一般に、技術が未成熟な時代には、開発やオペレーションなどインフラ部分の付加価値が高い。だが、技術のコモディティ化が進んでしまうと、こうした部分の付加価値は低くなり、プロジェクトの企画やマネジメントの付加価値が上昇してくる。その究極的な姿は現在のパソコンやスマホなどである。宇宙工学や軍事技術も決して例外ではなく、ロケットの開発や打ち上げ、管制といったインフラ業務の付加価値は以前に比べてはるかに低くなっているのだ。

 それは宇宙開発を手がける国の顔ぶれにも反映されている。以前は宇宙開発を行うことができるのは、米国、旧ソ連、欧州、それに日本だけであった。だが最近では、韓国、中国、インド、ベトナム、北朝鮮など途上国がこぞって宇宙開発に参入している。それは技術がコモディティ化し、難易度が大きく低下したことが影響している。

  こうした動きは、従来型の宇宙開発スタイルに固執する日本に大きな影響を与える可能性がある。今回米国で打ち上げられたシグナスには日本製の通信システムが採用されている。この関係もあって、シグナスの運用業務は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)がわずか2億円で受注している。つまり、日本は米国の民間宇宙開発の安価なアウトソーシング先となっているのだ。

 短期的には日本の技術が信頼されている証として評価することができるかもしれない。だが今後、韓国や中国など新興国が次々に国家プロジェクトとして採算度外視で宇宙開発を進めてくる。そうなってくると、米国の民間宇宙企業に対してアジア各国が宇宙インフラのアウトソーシング業務を受注しようと安値合戦を繰り返すという事態になる可能性がある。これはまさに、IT業界の巨人アップルに対して、日本や韓国、中国の部品メーカーが受注欲しさに消耗戦を行っている構図と似通ってくる。

 これまでの宇宙開発は開発途上であったため、基本的な技術力が高い日本は相対的に優位な立場にあった。だが今後は、技術のコモディティ化で、ゲームのルールそのものがチェンジしてしまう可能性がある。
 電機業界やIT業界などと同様、宇宙開発についても、本来であれば、ゲーム・メーカー側に回る立場だったはずの日本が、いつの間にか、低付加価値なゲーム・プレイヤーになっているという事態にもなりかねない。
 日本の潜在的な技術力の高さを考えれば、本来なら、すでに多数の民間宇宙企業が活躍していなければおかしいのである。個別の技術や既存の組織維持に固執し、全体的な戦略やビジョンに欠けるという日本の欠点は、宇宙開発にも当てはまる可能性がある。

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