ヨーロッパ各地で独立運動が勃発。欧州統合は本当に可能なのか?
ヨーロッパ各地で地域の独立運動に火が付いている。欧州統合とはまったく逆の流れであり、この動きがさらに広がれば、ユーロ構想そのものにも疑問符が付きかねない状況となっている。
独立運動がもっとも激しいのはスペイン。東部カタルーニャ地方はスペインからの分離独立を求めて中央政府と対立している。中央政府は独立に関する住民投票を阻止する構えで緊張が高まっている。スペインがEUに対して支援を要請できない背景には、カタルーニャの独立問題がある。
ベルギーでは14日に統一地方選挙が行われ、オランダ語圏であるフラマン地域の「分離独立」を主張する右派政党が大躍進した。同党はベルギー第二の都市であるアントワープ市長選にも勝利しており、独立派の勢いは増強している。
英国でも同様の動きがある。スコットランドの連合王国からの独立を問う住民投票が2014年に実施されることが決定した。
もっともスコットランドの国民で独立に賛成している人は30%程度といわれており、英政府が住民投票を受け入れた背景には、住民投票で可決される見込みは低いとの読みがある。
だが300年以上にもわたる連合王国の歴史の中で、主要国であるスコットランドにこれほどまでに独立の気運が高まったのは初めてであり、英国社会の変質がうかがわれる。
欧州各地の独立運動が、欧州危機をきかっけとした一時的なものなのか、大きなトレンドになるものなのかは今のところ判断がつかない。だが欧州統合への足かせになることだけは間違いないだろう。
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