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リクシルの海外M&Aは、今後の日本経済のあり方を示すお手本

 

 住宅設備最大手のLIXIL(リクシル)グループが大型の海外M&A(企業の買収・合併)に乗り出す。日本政策投資銀行と共同で、ドイツの住設機器大手グローエを約4000億円で買収する計画を進めていることが明らかとなった。同社は、今年8月にも米国の陶器メーカーを買収しており、海外事業の拡大を急ピッチで進める。

 買収が確定したわけではないが、もし買収が成立した場合には特別目的会社を通じて買収を実施する予定。グローエの主要株主である投資ファンドから株式の大半を2000億円で取得するとともに、同社が抱える負債2000億円も併せて引き継ぐ。
 同社の売上げは14億500万ユーロ(約1869億円)、利益(EBITDA)は2億7300万ユーロ(約363億円)なので、負債の引き継ぎを考えると若干割高な印象も受ける。同社はリクシルへの売却と同時にIPO(新規株式公開)の準備も進めているといわれており、IPOを材料に、リクシルに対して強気の価格交渉を行っている可能性もある。

 だが総合的に考えれば、この買収は合理的であると判断してよいだろう。リクシル本体の売上げは1兆4000億円あるが、経常利益はわずか530億円とかなりの薄利多売体質である。基本的に人口が減少する日本では、今後、大幅な売上げ拡大を望むことはできない。同社にとって、コスト削減を進めると同時に海外展開を図ることは重要な課題といえる。欧州で一定の基盤を持つメーカーを買収することは、売上げと利益率、両方の拡大に貢献するだろう。

 日本は工業国としてすでにピークを過ぎており、輸出で貿易黒字を確保できる時代はすでに過ぎ去った。貿易赤字は慢性化しており、今後もその傾向は変わらない可能性が高い。だが最終的な国の収支である経常収支は依然として黒字のままである。その理由は、海外投資から得られる利子や配当など投資収益が存在しているからである。日本は望むと望まざるとに関わらず金融立国になっているのだ。

 これまで海外投資の中心は米国債であったが、最近ではアジアへの直接投資が増えている。だがその実態は、製造拠点のアジア移転に伴う現地法人化であり、この現地法人は、近い将来再びコスト競争力を失う運命にある。だが海外の会社をまるごと買収するケースでは、その会社が健全性を維持している限り、永久に利子や配当を確保することが可能となる。リクシルの今回の買収はまさにその典型的なケースといえるだろう。

 日本は製造業における競争力は失ったが、まだたくさんのお金を持っている。こうした海外のM&Aを積極的に進めていくことで、今後も安定した投資収益を得ることができるはずだ。そうすれば、貿易赤字が慢性化しても、経常収支まで赤字に転落する可能性は小さくなり、安定的な経済を維持することができる。リクシルのような企業が、今後、続々と登場してくれば、日本も成熟国家として生きる道が開けてくるだろう。

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