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2%の物価目標は射程距離内。輸入インフレでも脱デフレは脱デフレ?

 

 総務省は9月27日、8月の全国の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合」は前年同月比でプラス0.8%となり、3カ月連続で上昇した。また前月比はプラス0.3%で今年の3月以来の高い伸びとなった。個別品目では魚介類や果物など生活必需品の価格上昇が目立っており、インフレが生活実感として顕在化してくる可能性がより高くなってきている。

 安倍政権の発足以降、物価は着実に上昇してきている。代表的な指標は今年1月から8月までの間に1%も上がった。ただその内訳は内需の拡大によるものではなく、基本的に円安を背景にした輸入価格の上昇である。

 もっとも値上がりが激しいのは電気代で、年初からすでに9%近く上昇している。次に顕著なのがパソコンやテレビといったAV機器、次いで旅行代金となっている。パソコンやテレビはほとんどが輸入であり、旅行代金も為替に左右される。つまりこれまでの物価上昇はすべて円安による輸入インフレであることがわかる。

 春以降は、調理食品、外食などの値上がりも目立つようになってきた。これまで外食産業は、原材料のコスト上昇を価格に転嫁できずにいたが、これもそろそろ限界に達しつつある。電力会社は独占企業なので一方的に値上げが可能であり、真っ先に価格が上昇しただけの違いである。最近では、猛暑の影響で、長く価格低下が続いてきた野菜や果物の値上げが目立ってきている。輸入インフレとは直接関係しないが、生活に密着した商品だけに、物価が上がっているという感覚が増大してくることになるかもしれない。

 日銀が量的緩和策を打ち出した当初は、まだデフレ傾向が激しく、2%の物価目標は達成困難と思われていた。だが実際にフタを開けてみれば、すでに物価は1%も上昇しており、2%の物価目標は十分、射程距離内に入ってきている。実体経済の状況はともかく、見かけ上のデフレ脱却は案外簡単に実現できるかもしれない。

 もっとも市場関係者の多くは、日銀の黒田総裁について確信犯であると見ている。国際的に為替操作と解釈されることは絶対に避けなければならないため、関係者は口が裂けても言わないが、黒田総裁の狙いは最初から、円安誘導による輸入インフレの実現であったというものだ。
 理屈上、デフレ脱却さえ実現してしまえば、実質的な経済成長が伴わないのは政府の責任ということになる。現在は10兆円の大型公共事業の効果でプラス成長を維持できているが、来年はその効果が切れてしまう。政府は景気の腰折れを回避すべく5兆円の補正予算の成立を目論んでいるが、その効果は消費税増税と相殺されてしまうだろう。確かにすでにボールは政府側にあるといってよい。

 来年度以降も景気を持続させることができるのかどうかは、秋の臨時国会で議論される成長戦略の具体的内容にかかってくるだろう。

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