ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

公的年金の運用方針見直し。ホンネは国債価格下落への対処

 

 公的年金の運用改革を議論する政府の有識者会議は9月26日、11月の最終報告に向けた中間論点整理案を発表した。案では、国債中心のポートフォリオを見直し、新たなリスク資産も運用対象に加えるよう求めた。デフレからインフレへと転換する経済情勢に合わせた運用を行うべきとしている。

 日本の公的年金はこれまで基本的に国債を中心に運用を行ってきた。国債は安全資産といわれてきたが、超低金利が続いていることから運用成績が悪化しているほか、最近では金利上昇が予想されており、国債に偏った運用のリスクが指摘されるようになってきた。

 公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6月7日、年金積立金の基本ポートフォリオを見直すことを発表している。新しいポートフォリオでは、国内債券の比率が67%から60%に引き下げられる一方、国内株式が11%から12%に、外国株式が9%から12%に、外国債券が8%から11%にそれぞれ引き上げられた。
 ただしこの見直しは、従来の基本ポートフォリオ(運用方針)とかなり乖離していた現実のポートフォリオに対して、基本ポートフォリオの方を合わせただけであり、現状追認というニュアンスが強い。今後は、この水準からさらにどの程度、ポーフォリオを見直すのかが焦点となる(図は2013年6月末のポーフォトフォリオ)。

 論点整理案では、具体的なポートフォリオには言及していないが、あらたな運用対象として不動産投資信託(REIT)、インフラ投資、プライベートエクイティ(未公開株)、コモディティなどが列挙されている。国内債券の比率が下がり、こうした新しい商品の割合が高まることを想定している。
 この方向性については二つの解釈をすることができる。ひとつは、今後アベノミクスが順調に推移し、国内不動産価格の上昇や株式の新規公開が相次ぐという予想から、より高いリターンを求めてこれらのリスク資産に投資をするという積極的な解釈。もうひとつは、物価上昇が懸念されることや日本国債の信認低下で金利が急上昇するリスクを考慮し、現在保有している国債の下落による損失を回避するためという消極的な解釈だ。

 もちろんその両者ということもあるのだろうが、年金の運用は原則として安全第一である。現実には金利上昇による損失回避を強く意識していることは間違いない。国民の年金を預かる極めて保守的な公的年金の運用が、とうとう国債価格の下落を意識し始めたのである。景気回復を伴うものであってもそうでなくても、国債価格が下落し、金利が上昇する時代が近づいていることを示している。

 - 政治, 社会, 経済 , , ,

  関連記事

no image
中国版イエズス会?中国語を世界に普及させる「孔子学院」が米国を席巻!

 中国語や中国文化の宣伝や普及を目的とした中国の教育機関が米国の教育界を席巻し、 …

senkaku
民主、自民、維新3党の領土問題へのスタンスを比較してみると?

 維新の会への太陽党の合流が決まり、いわゆる第三極勢力はある程度まとまった勢力と …

rio
変わるカトリック教会。ブラジルではプロテスタントに対抗して現代マーケティング手法を導入

 カトリック教会のフランシスコ新法王が就任して4カ月が経過した。性的虐待問題やマ …

nakatani
安保法制をめぐってはやくも不毛な議論。「昭和」の時代は続く

 今国会で審議が始まる安全保障関連法案をめぐって、早くも不毛なやり取りが行われて …

sengyoshufu
日本女性の満足度は高いというOECDの調査結果。男女平等と幸福の関係は?

 安倍政権は成長戦略の一環として女性活用を大々的に掲げており、配偶者控除の見直し …

goan
10億の報酬をもらうゴーン氏。だが仏本国では世論に配慮し少額しかもらっていない

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は6月25日に開催された株主総会で、2013年 …

yosankyosho2015
オバマ政権が2015年度予算教書を発表。米国の財政収支改善がより明確に

 米大統領府(ホワイトハウス)は2015年会計年度(2014年10月~2015年 …

sonyhirai
ソニーが最悪のタイミングで増資を発表。もはやグローバル企業ではなくなった?

 ソニーが突然、公募増資などによる最大4400億円の資金調達を発表した。業績回復 …

shoshutuchi
スイスに続いてドイツでも役員報酬制限の動き。背景にある株主主権という考え方

 欧州で企業経営者の高額報酬を制限する動きが活発になってきている。スイスでは今年 …

imfjapan
IMFの年次報告書で消費税は15%が望ましいと主張している理由

 IMF(国際通貨基金)は8月5日、日本経済に関する2013年度の年次報告書を発 …