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消費増税の正式決定で焦点は5兆円の経済対策の中身とその効果に移行

 

 政府は10月1日、閣議を開催し2014年4月から消費税を8%に引き上げることを正式に決定した。閣議決定を受けて記者会見に臨んだ安倍首相は「国の信認を維持し、社会保障制度を次世代に引き渡すことが責務」であると述べ、消費税の増税に対して理解を求めた。

 消費税の増税はすでに既定路線となっており「最後の最後まで考え抜いた」という首相の発言はポーズといってよいだろう。
 消費増税が正式に決定されたことで、永田町の関心は増税後の景気に落ち込みとそれに伴う経済対策の内容に移っている。政府は消費増税への対応策として5兆円規模の経済対策を検討している。その中身は、減税と大型の公共事業からなっている。

 減税策として具体的に検討されているのは、設備投資を行った法人に対する減税(いわゆる投資減税)と東日本大震災の復興財源に充てる特別法人税廃止の前倒しである。また賃上げを行った法人に対する減税措置も盛り込む。これらを合わせた減税規模はおよそ2兆円になる見込みだ。

 公共事業については、昨年に引き続いて大型の補正予算案で対応する。現在予算編成作業が行われている2015年度予算案も、消費増税を見込んだバラマキ予算である。だが実際に予算が執行されるのは4月以降であり、それまでの間は経済対策が空白となる。これに対応するのが補正予算という位置付けである。また安倍政権がギリギリまで導入を躊躇していた法人税の実効税率の引き下げについては、準備が整い次第、導入を進めていく。

 前回の補正予算は10兆円(民間支出分を合わせると20兆円)という大規模なものであった。消費増税の判断基準となった4~6月期GDPの数値が良好だったのは、この補正予算による公共事業の影響が大きい。また、消費増税を前にした住宅の駆け込み需要が旺盛だったことを考えると、5兆円の経済対策と来年度の当初予算だけでは景気の落ち込みを防ぐことは難しいかもしれない。
 だが安倍政権には幸運にもオリンピックという追い風が吹いている。オリンピック開催を前提にした公共事業の前倒しが可能となるため、より大型の公共事業を継続できる見通しが立ちつつあるのだ。

 大型の補正予算とオリンピックによる公共事業の前倒しで、当初の予想とは異なり、消費増税後の経済運営も順調に進む可能性が出てきた。だがそれは需要の先食いであり、どこかのタイミングでそのツケは回ってくる。長期政権化が確実視されつつある安倍政権だが、政権にとって最大の敵はやはり経済問題であり続けるのかもしれない。

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