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金融庁が海外ファンド投資で有名な「ゆかし」に対して行政処分の構え

 

 証券取引等監視委員会は「いつかはゆかし」のキャッチフレーズで知られている投資助言大手アブラハム・プライベートバンクを行政処分するよう金融庁に勧告する。監視委員会では、同社が金融商品販売業者の登録をせずに海外運用会社の商品を実質的に販売したと判断しており、金融庁は、業務の一時停止を求める方針だという。

 同社は現在、金融取引業者のうち投資助言・代理業として関東財務局に登録している。この区分では投資家に対して投資の助言をすることまでは認められているが、特定の金融商品を推奨したり、商品の販売会社から手数料を受け取ることはできない(写真は同社が入る港区のビル)。
 この業務を実施するには、第二種金融商品取引業の登録が必要となるが、同社はこの登録を行っていない。
 監視委員会では、同社が海外ファンドの運用業者から、海外の関連会社を通じて実質的に手数料を受け取っていたと判断している。これが事実であれば、金融商品取引法に違反していることになる。

 同社は、富裕層向けマーケティング会社であるアブラハム・グループ・ホールディングス株式会社の100%子会社。同社グループは三井物産出身の高岡壮一郎氏が2005年に創業したベンチャー企業で、金融資産1億円以上の富裕層限定会員組織「ゆかし」を運営しているほか、富裕層情報サイト「ゆかしメディア」の運営を行っている。

 同社は、2000年代半ばの富裕層ブームを背景に創業。1億円以上の資産家が集まるという会員組織「ゆかし」はマスメディアでも取り上げられ当時はちょっとした話題となった。最近は、日本の将来性に対する不安から海外の投資機会を探る人が増えてきており、同社の海外ファンド投資助言サービスは人気を集めている。すでに2000人から3000人の会員がいるとみられる。

 最近発生したAIJ投資顧問の事件のように顧客の資産がなくなっているわけではなく、実際にファンドはきちんと運用されていることから、処分はそれほど重くはならない可能性が高い。
 ただ同社は株式の上場を目指しており、多数のベンチャーキャピタルが出資している。行政処分ということになると上場には黄色信号が付く可能性もある。
 また税務当局は日本の財政への信認が低下していることから、海外への資金流出にかなり神経質となっている。従来、海外への送金は富裕層が中心であったが、最近では円安傾向が定着していることや、日本の年金や財政に対する不信感から中間層でも海外への投資に関心を持つ人が増えてきている。個人に対して海外ファンドを積極的に紹介していた同社が処分されることになれば、こうした流れにも少なからず影響を与えることになるかもしれない。

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