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企業の倒産件数が激減。だがそれは、銀行のあたらな時限爆弾に過ぎない

 

 銀行の過剰な国債保有が懸念されている中、銀行のあたらたな時限爆弾の存在が明らかになった。企業に対する隠れ不良債権の増加である。

 帝国データバンクは2012年度上半期(4〜9月)の全国企業倒産集計を発表した。それによると倒産件数は前年同期比5.0%減の5439件となり、3年連続で減少した。負債総額も過去10年で最小を記録している。

 この不景気の真っ只中でなぜ倒産が減少するのか?その理由は2009年12月に施行された「金融モラトリアム法」にある。
 国民新党の強い主張によって立案された同法案は、資金繰りに困った中小企業が金融機関に申し出た場合には、金融機関は貸付条件の変更などに応じる義務が生じるというもの。対象には住宅ローンの返済条件見直しを求める個人も含まれている。

 この法律が施行されて以降、銀行はどんなに危険な融資先でも、企業側がから申し出があれば救済しなければならなくなった。
 本来なら倒産している会社が銀行からの追加融資で延命することができるため、見かけ上の倒産が減少したのだ。
  当たり前のことだが、それは本質的な問題解決にはなっていない。それどころか、日本経済のあたらな時限爆弾になりつつある。見かけ上の倒産減ったものの、銀行の隠れ不良債権が急増しているのだ。特に中小企業への融資が多い地銀は「危機的な状況」(地銀の融資担当者)だという。

 この問題は実にやっかいな状況をもたらす可能性がある。国債の価格下落とのダブルパンチである。

 現在銀行は過剰な国債を保有しており、IMFもその危険性を指摘している(関連記事を参照)。国債の金利が上昇すると、国債価格が下落し、銀行に巨額の損失が発生するというメカニズムである。だがこの問題は、国債の価格を維持することができれば当面の間、回避することができる。
 だがここで、銀行の不良債権が表面化してしまうと、銀行はその穴埋めに国債を売却する必要に迫られる。つまり、国債価格下落の引き金を自ら引いてしまう可能性が出てくるのである。

 ただでさえ、国債過剰保有が問題となっている中、安易な企業延命策の実施によって、日本経済が致命的な崩壊を起こすリスクを高めてしまったのである。
 リーマンショック後、日本の銀行の相対的健全性が高まっていた矢先だっただけに、隠れ不良債権の増加は、日本経済の将来に深い影を落とすことになってしまった。

 - 政治, 経済

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