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特定秘密保護法案に関する日本人の何ともお粗末な議論

 

 政府は10月4日、特定秘密保護法案に関するパブリックコメントの結果を公表した。およそ9万件の意見が集まり、このうち反対が約77%にのぼっている。パブリックコメントに対して意見を出す人は、この問題に対して極めて高い関心を持っている可能性があり、ほとんどが反対意見であったという結果は、多少割り引いて考える必要があるだろう。だがこの法案に関する議論の過程において、不安材料が山積しているのも事実だ。

 日本は安全保障に関する情報管理が甘いといわれている。その実態がどれほどのものであるのかはともかくとして、少なくともこの法案が米国からの強い要請で立案されていることを考えれば、日本の情報管理の甘さが危惧されているのは事実といってよいだろう。
 ただ問題なのは、法案を議論する課程で「知る権利」という、民主国家であれば、国民が当然に保持している権利について、これを否定するような発言が政治家から相次いでいることである。

 この法案成立を要請した米国においても、9.11以降、知る権利と秘密保護をめぐっては様々な葛藤がある。だが米国の場合、全員に共通しているのは「知る権利」は当然に存在しているという事実である。その中で、情報機関などはどのように機密を保持するのか苦心しているのである。
 だが日本国内での議論を聞いていると、ややもすると知る権利そのものを否定するような発言が見受けられる。これは民主国家を名乗る以上はあってはならないことである。また現行では、機密情報を公務員の判断で廃棄できるようになっているなど、民主主義の根幹を成す部分が完全に欠落している。

 この危うさは法案のマスコミに対する取り扱い方にも表れている。本来、知る権利があれば報道の自由は当然に保証されるものとなる。だが知る権利が明確にならず、報道の自由のみが法案で規定される可能性も出てきているのだ。知る権利のないところに報道の自由はなく、もしそれが成立するのだとすれば、統制された報道機関のみということになるだろう。日本はこんな当たり前の議論すらまともにできない状態なのである。

 日本はこれまで何度もスパイ天国といわれてきており、おそらくそれは事実である。情報管理が不徹底な状態は手つかずのまま長く放置されてきたわけだが、その責任は、知る権利と情報秘匿に関する真剣な議論を避けてきた国民自身にある。情報秘匿という話題になると、基本的人権を無視した極端な発言をする人物が出てきて、これに対して、一部の人々が過剰反応するという茶番劇の繰り返しであった。
 民主主義を否定する、あるいはその仕組みをよく理解できないという人が一定数存在してしまうのは止むを得ないだろう。だがそれに対して国民がきちっと声を上げなければ、極端な議論ばかりが横行する状態となり、結果として情報漏洩を招き、日本の国益を大きく損ねることになる。

 日本は、基本的人権の保護と、国益に関する情報秘匿の両立という、民主国家としては当たり前のことを当たり前に実行できる国に早く脱皮する必要がある。

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