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米国が中東で2つの対テロ作戦を同時遂行。今後はこうした「見えない」戦争が中心か?

 

 米軍は10月5日、リビアとソマリアにおいてほぼ同じタイミングで特殊部隊による対テロ作戦を実施した。リビアでの作戦は成功しアルカイダの幹部を拘束したが、ソマリアでの作戦は相手側の反撃が激しく、撤退を余儀なくされた。米国は中東への関与を今後縮小していく方針であり、今後はこうした小規模な「見えにくい」作戦が増えてくると予想される。

 リビアで拘束されたのは、1998年に発生したケニアとタンザニアの米大使館爆破事件に関与したとして米国で起訴されていた国際テロ組織アルカイダ幹部のアブアナス・リビ容疑者(写真)。同爆破事件では数百人が死亡し、米国政府は同被告に500万ドル(約4億8000万円)の懸賞金を懸けていた。
 同容疑者を拘束したのは、米陸軍の対テロ特殊部隊であるデルターフォース。リビアの首都トリポリ郊外にある同容疑者の自宅を無人機などを使って長期間にわたって監視して行動パターンを把握。車で外出したところを特殊部隊の車が取り囲み拘束した。その際に発砲などは行われなかったという。
 同容疑者は現在、地中海に展開している揚陸艦サンアントニオの艦上で尋問を受けているという。アルカイダにおけるコンピュータ・システムの専門家とされていることから、アルカイダ内部の情報に精通していると考えられる。米国政府は、この作戦についてリビア政府に事前に通知したとしているが、リビア政府はこれを否定している。

 一方、海軍の特殊部隊シールズは、アフリカ東部のソマリアにおいて、イスラム過激派組織アッシャバーブの幹部を拘束するための作戦を陸軍とほぼ同じタイミングで実施した。アッシャバーブは、先月ケニアで発生した商業施設襲撃を主導したといわれている。
 シールズは5月未明、秘密裏にソマリア沿岸部に上陸しアッシャバーブの幹部宅を襲撃したが、予想以上の反撃を受け撤退した。幹部は射殺されたとの情報もあるが確認されていない。いずれにしても当初の目的である拘束には失敗した。

 米国内では中東への関与について意見の対立があるが、少なくともオバマ政権は中東への関与を減らす意向を持っている。一方でテロ組織の活動は続いていることから、オバマ政権は今後、こうした小規模で見えにくい軍事作戦を増やしてく方針と考えられる。意外な印象だがブッシュ前政権と比較すると、オバマ政権は無人機による秘密作戦を数多く実施している。イラク戦争のような大規模な戦争はもう行われない可能性が高いが、暗く陰湿な戦争はむしろ強化されることになるかもしれない。

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