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パナソニックのプラズマ撤退劇に見る、日本企業の「決断できない」体質

 

 パナソニックは2013年度末をメドにプラズマテレビ向けのパネル生産を停止する。生産拠点であった尼崎工場は売却する方針。
 同社のプラズマテレビ事業は巨額赤字の元凶であり、かなり前から撤退が取り沙汰されていた。今年3月にはテレビ事業を大幅に縮小すると発表したが、プラズマの完全撤退までは決断できない状態にあった。だが今年度に入って状況はさらに悪化、追い込まれた末の完全撤退となった。プラズマテレビ事業は同社の重荷であり、これから解放される意味は大きいが、それ以上に、決断ができないという同社の体質をより鮮明にする結果となってしまった。

  同社は2012年3月期の決算で約8000億円という巨額赤字を計上、続く2013年3月期にも7500億円の赤字を計上した。これら巨額赤字の主な原因の一つがプラズマテレビ事業である。
 同社はプラズマテレビを主力商品と位置付け、尼崎工場には約4000億円を投資した。だが液晶ディスプレイとの競争に敗れたことや、全世界的なAV機器の価格破壊でテレビ事業そのものが低迷、巨額赤字の元凶となってしまった。

 2010年度には2000万台を超えていた薄型テレビの生産台数は2012年度には1300万台程度にまで減少していた。同社は中国の上海に年間200万台の生産能力がある工場も建設したが、実際には40万台程度の生産しか実現できなかった。同社が上海工場の閉鎖を決定したのは2012年の末である。この決断も遅きに失したが、国内の主力工場の閉鎖を決定するまでにはそこからさらに1年近くを要している。撤退を決断できず、ズルズルと先延ばしにする体質が浮き彫りになったといってよい。

 だがこうした「決断ができない」体質は同社に限った話ではない。日本企業の多くが抱える共通の課題といってもよいだろう。
 決断ができない理由は様々だが、最終的には日本人従業員の雇用維持というテーマに行き着く。同社も中国人従業員がほとんどを占める上海工場の閉鎖は相対的に早く決断できたが、日本人従業員がいる国内工場の閉鎖はなかなか決めることができなかった。

 日本企業は表面上は株式会社の形態を採用していても、実質的には機能していないことが多い。会社の経営には株主ではなく、従業員の意向がより強く反映されている。経営陣も従業員からの昇格がほとんどであり、どちらかというと従業員の代表者といってよい。このようなガバナンス形態においては、国内従業員の雇用が最優先されるのはある意味で当たり前のことである。

 日本では以前、会社は株主のものか従業員のものかという論争があったが、考えてみればこれほど馬鹿げた話はない。会社を誰のものにするのかは自由に決められるからだ。会社を株主のものとする形態が株式会社というだけの話であり、従業員のものにしたければ、それに見合う法人形態はいくらでも存在している。
 会社を株主の所有物とする株式会社の形態をわざわざ選択しておきながら、従業員のものかどうかを議論することなど無意味である。従業員のものにしたければ、株式会社の形態をやめ、従業員が会社経営に責任を持つ法人形態に移管すればよいだけなのだ。

 だがそのような法人形態に移管するという話は日本中のどこからも聞こえてこない。その理由は簡単である。そういった法人形態では国際競争はおろか、国内競争を勝ち抜くことすら到底不可能であることを、皆が知っているからだ。結局のところ株主というリスクテイカーに依存しなければ、賃金を確保することすらままならないのが現実である。

 株式会社の選択をしておきながら、従業員の雇用を最優先するという矛盾を続けている限り、日本企業の「決断できない」体質は続くだろう。行き着く先は、限られた国内需要を多くの企業で分け合う究極の縮小均衡経済なのだろうか?

 - 社会, 経済 ,

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