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トルコによる中国製装備の調達問題で浮上した、軍事技術汎用化という課題

 

 NATO(北大西洋条約機構)のラスムセン事務総長は10月7日、NATO加盟国のトルコがミサイル防衛システムの共同開発相手として、中国を選定したことについて懸念を表明。トルコに対して再考するよう促した。

 トルコはミサイル防衛システムの調達にあたって、中国製、欧州製、米国製の3つを候補として選定作業を行っていた。この中で中国企業が提示した金額が最も安く、中国製システムの導入が決定したという。

 NATOは加盟国が保有するミサイル防衛システムを相互に接続する欧州ミサイル防衛網の構築を進めている。ここに中国製システムが加わることは、NATOの安全保障とって大きな懸念材料となる。また受注した中国企業「中国精密機械輸出入総公司(CPMIEC)」は、米国政府がイラン・北朝鮮・シリア不拡散法に違反したとして制裁対象リストに掲載している企業であり、この点についてもNATO各国は神経をとがらせている。

 このミサイル防衛システムをめぐっては、さらに複雑な問題も浮上している。中国が納入する予定のシステムは「紅旗9」と呼ばれるものの輸出バージョンなのだが、ここにはたくさんの日本製電子部品が搭載されていることが明らかになっているのだ。
 日本国内では武器輸出三原則がないがしろになっており、中国側に事実上の技術供与が行われているとして懸念の声が上がっている。一方、中国国内では国産の兵器に多数の日本製部品が搭載されていることについて問題視する声が出ている。

 トルコのミサイル防衛システム選定をめぐる一連の出来事からは2つのことが浮き彫りになった。ひとつは中国製装備の劇的な性能向上である。もうひとつは、軍事技術のさらなる汎用化だ。

 トルコによる中国製システムの採用は政治的な駆け引きの可能性もあり、実際に導入されるのかは定かではない。だが、少なくとも、欧州や米国と同列、あるいはそれに近い水準で比較検討できる水準まで中国製兵器の能力は向上している。これは日本にとっても憂慮すべき事態といえる。
 軍事技術の汎用化は今に始まったことではない。日本製の部品を求めて秋葉原で外国の軍関係者が民生用パーツを現金購入する光景は80年代からごく当たり前のものであった。一部にはこうした民生用の部品も含めた輸出規制が必要との声もある。だが時代はもっと先を行っており、こうした考えはすでに時代遅れとなりつつある。

 中国やアジアの部品メーカーの技術力向上はすさまじく、現在は優位性を保っている日本製電子部品も、早晩キャッチアップされることは確実である。兵器に使われる部品は信頼性が第一なので、民生用の分野に比べて一世代遅れたものが使われることが多い。その意味で、日本製からアジア製に部品が切り替わるタイミングは民生用に比べれば遅いかもしれない。だがそれも時間の問題だ。

 むしろ今後は、無人機に代表されるような、安価な汎用パーツをインテグレートし、高い機能を持ったシステムを作り上げるマネジメント能力が兵器産業にも求められるようになってくる。日本が流出を危惧すべきなのは、こうしたノウハウであって部品そのものではない。もっともこうしたノウハウについても、一部は中国やアジアに抜かされており、日本はむしろ流出を懸念するというよりも、部分的には他国をキャッチアップする必要すら出てきているのだ。いずれにせよ、工業製品の流通を管理すれば事が足りるという時代が終わっていることだけは間違いない。

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