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オバマ大統領の欠席で中国は時間稼ぎに成功。東アジア首脳会議の成果は今ひとつ

 

 ASEAN(東南アジア諸国連合)各国と日米中などが参加する東アジア首脳会議が10月10日、ブルネイで開催された。今回の主要議題は、中国とASEANとの間で領有権争いが発生している南シナ海問題。同地域での紛争拡大を防止するための「行動規範」を策定する方向性を確認した。
 ただ、米国のオバマ大統領が債務上限問題から会議に出席できず、中国に対する牽制は今ひとつという状況だった。議長声明は中国に対する配慮から抽象的な表現にとどまった。

 会議において安倍首相は「すべての関係国は国際法を順守すべきだ」と述べた。南シナ海での領有権を強硬に主張する中国を牽制したこの発言に対しては、ASEAN各国が賛同の意向を表明している。
 米国は領有権問題について中国と直接交渉する意向は持っていないが、少なくとも多国間交渉で問題を解決するよう、以前から中国に要求している。中国の強硬な姿勢に対して日本がこれを牽制し、アジア各国と米国は多国間協議での解決を中国に求めるという構図がより鮮明になったといえる。

 だが中国は、領有権問題について当事者間の交渉で解決すべきとの立場を崩していない。中国の李克強首相は「問題は当事者間で平和的に解決すべきだ」として、安倍首相の発言に対して反論を行った。また中国はアジア各国に対して中国批判を封じ込めるための積極的な経済援助を行っており、フィリピンなど一部の国を除くと、アジア各国からは表立った中国批判は出なかった。
 会議には当初、米国のオバマ大統領も出席する予定となっており、オバマ大統領のリーダーシップによって、行動規範策定をより強く打ち出すことが期待されていた。だが債務上限問題からオバマ大統領は出席できず、ケリー国務長官が代理として会議に臨んだ。ケリー国務長官と李首相は75分間に及ぶ個別会談も行ったが、領有権問題の迅速な解決を望むケリー長官に対し、李首相は個別交渉での解決を目指すという姿勢に終始した。

 結局、中国に対して各国が行動規範の早期策定を望むという姿勢ははっきりしたものの、具体的な進展が見込める状況にはならなかった。中国は行動規範の策定に同意してはいるのものの、積極的にこの問題に取り組むとは考えにくい。オバマ大統領の欠席によって、中国側は時間的猶予を得た状況であり、問題解決にはかなりの時間がかかることが予想される。

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