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マネーストックの伸びは順調。だが絶対値では量的緩和以降、横ばいの傾向

 

 日銀は10月11日、9月のマネーストック(マネーサプライ)速報を発表した。代表的な指標であるM3は前年同期比3.1%の増加となった。6月に3.1%という2004年3月以降最大の伸びを記録して以来、毎月3%台という順調な伸びが続いている。
 ただ前年同月比ではなく、マネーストックの絶対値で見ると量的緩和開始以降、伸び悩んだ状態となっており、量的緩和の効果がどの程度寄与しているのかはまだ不透明だ。

 マネーストックは金融機関から市中に提供されるマネーの総量のことを指している。これに対して日銀が金融機関に提供しているマネーの量はマネタリーベースと呼ばれる。
 日銀による異次元の量的緩和策では、政策目標をマネタリーベースに設定しており、マネタリーベースを年間70兆円分増やすことを確約している。マネタリーベースが増えれば、銀行は理論上、貸出を増やすことになり、信用創造が膨らみ、最終的にはマネーストックの増加につながってくる。これが量的緩和策の狙いである。

 だが日銀が国債を大量に買い取り、その代金を当座預金に振り込んだとしても、金融機関がそのお金を市中に提供しなければ、マネタリーベースは増えてもマネーストックの量は増えない。実態経済に直接影響を及ぼすのは、現実に市中に出回るお金なので、量的緩和策が効果を上げているのかは最終的にはマネーストックの数値を見る必要がある。

 月次のマネーストックは通常、前年同月比で評価するので、デフレ傾向が顕著であった昨年から比較すると、市中には多くのマネーが供給されていることがわかる。ただ足元の数字は少し様子が異なっている。
 マネーストックの量は2013年2月から4月にかけて急上昇したが、量的緩和がスタートした4月からは伸びが鈍化し、7月以降は横ばいが続いているのだ。これはどのように解釈したらよいのだろうか?

 ひとつは株高の効果を考えることができる。量的緩和策やアベノミクスに対する期待が高まったことをきっかけに、昨年末から株価は大幅に上昇した。これによって利益を得た富裕層が高額商品を購入し、年初から百貨店売上げが増大するなどの現象が見られた。つまり量的緩和策への期待から、マネーストックが増えていたものの、実際に緩和策がスタートしてからはその期待値が下がり、伸び悩んでいるという解釈である。
 もうひとつは公共事業の影響を考えるとができる。政府は2013年2月、大型公共事業を軸とする総額10兆円の補正予算を成立させている。これが執行されたことで、建設受注などが増大し、マネーストックが増えたという見方である。だが公共事業の発注が一段落した夏以降は、伸び悩みが目立つようになった。

 いずれにしても、これまでのマネーストック増大は期待先行型、もしくは官需先行型であったということになる。今後は民需を中心とした内需が主導する形にならないと、いつまでも公共事業や量的緩和拡大に依存することになってしまう。秋の臨時国会ではいよいよ成長戦略が立法化されるが、今後のマネーストックは成長戦略関連法案の内容次第ということになるだろう。

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