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外貨準備の運用を民間に開放。一部からは金融機関の救済策との声も

 

 政府は外国為替資金特別会計(いわゆる外為特会)の運用方針を見直す。これまで外部に解放していなかった資金の運用を民間の金融機関にも委託できるよう法改正を行う。民間のノウハウ取り込みが目的だが、運用対象は国債など従来型の安全資産に限定されており、民間委託の効果は少ない。一部からは、国債の運用難に悩む金融機関への補助にしかならないとの声も出ている。

 政府は現在、1兆3000億ドル(約127兆円)にのぼる外貨準備を保有している。これは日本が持つ対外純資産額の40%に相当する。これまでは外貨準備の7割が米国債で運用されており、残りも国際機関債など安定的な債券で占められている。
 これまで米国債は何十年にもわたって安定的な利回りを提供してきた。日本は現在、貿易赤字体質が定着しているが、経常収支の黒字を維持できている理由は、外貨準備をはじめとする対外債権の多くが米国債で安定的に運用されてきたからである。

 だがリーマンショック以降、米国債の利回りが低下していることや、日本の経常収支における海外投資収益の依存度が高まってきたことなどから、外貨準備においても、より効率的で機動的な運用が求められるようになってきた。今回の制度見直しは、外貨準備の運用に民間のノウハウを取り入れ、運用効率を向上させることを目的としている。

 だが制度改正の実態は必ずしもそうなっていない。手数料を支払って民間に運用の一部を委託できるようにするものの、投資対象は米国債など従来型の安全資産に限定される見込みだ。政府が機械的に売買するよりも、運用ノウハウを持った金融機関によるきめ細かい売買が行われる方が運用効率は向上するだろう。だが、わざわざ手数料を支払ってまで実施しなければならないことなのかについては疑問の余地がある。

 関係者の中には、日銀による量的緩和策で国債での運用が難しくなり、収益の確保に苦しんでいる金融機関の救済策だと皮肉を言う人もいる。外為特会の資金の運用を任されれば、金融機関にはそれだけで多額の手数料が転がり込んでくるからだ。
 長期的に見れば、戦略的な外貨準備運用の第一歩と見なすことも可能であり、近視眼的な判断は避けた方がよいかもしれない。いずれにせよ、巨額の外貨準備は日本に残された数少ない虎の子の一つであり、この運用次第で日本の国際収支は大きく変化する。少なくとも貿易によって外貨を貯め込む時代が終了し、それを活用する成熟国のフェーズに入ったことだけは間違いないだろう。その意味で外為特会の外部運用のスタートは時代の流れといってよいだろう。

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