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日本の秘密保持、公文書管理、情報公開はそもそもどのような体系になっているのか?

 

 政府は秋の臨時国会に特定秘密保護法案を提出する。この法案に対しては知る権利をめぐって慎重論が相次ぎ、最終的には法案に「知る権利」(厳密には知る権利に基づく取材の自由)が明記されることに落ち着いた。
 同法案をめぐっては、情報公開と秘密保持の間で大きな論争となったが、情報公開と秘密保持の関係については誤解も見受けられる。最終的に法案がどうなるのかは国会での審議次第だが、日本の情報管理はそもそもどのような体系となっており、問題点がどこにあるのかについて、整理しておく必要があるだろう。

 従来、日本の情報管理は2つの法律で体系化されてきた。ひとつは公文書管理法、もうひとつは情報公開法である。
 本来であれば、公文書をどのように作成・保存するのかを定める公文書管理法、その中で秘密を要する情報の管理を定める秘密保護法、そして情報公開のルールを定める情報公開法の3つが一体となって運用されるべきものである。
 そして、これらの基本となるのが、政府が公文書をどのように作成・管理するのかを定める公文書管理法である。

 だが驚いたことに、日本では公文書管理法が施行される2011年4月まで、公文書を管理するための基本的な法律が存在していなかったのである。各府省では、職員がそれぞれに勝手に判断して文書を作成したり破棄したりしていた。年金記録が存在しない、重要な外交文書が破棄されるといった想像を絶する問題が発生するのはこういった理由からだ。公文書管理に関するきちんとした体系がないのだから、情報漏洩が頻発するのも当然といえば当然のことであった。

 しかも法律の施行後も、現実はかなり杜撰だ。公文書管理法施行以後であるにも関わらず、震災に関連した会議の議事録が作成されなかったことが発覚しており、法律はないがしろにされたままである。また情報公開法が公文書管理法より先に施行されてしまったため、各省の公務員は、情報公開法の施行を前に、自分達に都合の悪い文書はすべて破棄してしまっている。日本には政府の活動をきっちりと記録に残し、公開・非公開を含めて適切に管理するという概念そのものがまだ欠落しているのである。

 また、情報公開法についても不十分な点が多い。現行の情報公開法では、情報の開示をめぐって裁判になった場合、裁判官が該当する文書を見て開示の必要性を判断することができない仕組みになっている。これでは政府にとって都合の悪い文書をすべて非開示にすることができてしまう。国益を損ねる行動を一部の公務員が行っても、それを隠蔽する事が可能になってしまっているのだ。

 民主国家である以上、国民は原則としてすべての情報について「知る権利」を有している。だが現実問題として安全保障に関わる分野を中心に秘匿が必要な情報もある。これらのバランスを取るための法体系が、上記の3つなのである。だが現在の日本は、この3つがバラバラに、しかも、いい加減な状態で運用されている。

  「秘密保護法案は危険だ」「情報の秘匿は必要だ」といった単純化された議論は問題の本質を見失わせる可能性がある。秘密保護法の策定は、情報公開法の改正、公文書管理法の改正と組み合わせた一体改革として導入するのが望ましく、それこそが国益を最大化させる最良の方法といえるだろう。

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