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謎の覆面画家バンクシーがニューヨークで活動中。アートの価格形成を皮肉る実験も

 

 英国の著名な覆面ストリート・アーティストであるバンクシーが、現在1カ月の期間限定でニューヨークで活動している。ブルックリンやマンハッタンに絵を描いたことが確認されているが、その活動の実態は依然として不明のままだ。

 バンクシーは英国出身の画家だが、自分の詳しい素性は明かしていない。基本的にストリートにゲリラ的に出没し、夜間のうちにビルの壁などに絵を描いていく。
 モノトーンを基調とした批評性の強い作品が多いが、中にはポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホールのパロディのような作品もある。
 ヨーロッパ各地では、彼の描くが絵が話題となり、壁画を切り出してオークションにかける人も現れた。中には1億円近い金額で落札された作品もあるという。
 これらの絵はバンクシーが勝手に描いたものであり、オークションでの売却代金は全額、ビルの持ち主の懐に入っている。だがバンクシーはお構いなしに次々に街中に絵を描き続けている。

 ニューヨークのブルームバーグ市長は記者会見で「他人の所有物であるビルの壁に勝手に絵を描くことがアートなのか?」と発言し、ニューヨーク市警察に対して、バンクシーが絵を描いているところを発見した場合には、すぐに摘発するよう指示を出したという。
 だがニューヨークでは、バンクシーの絵を一目見ようと、観光客が押し寄せており、警察が総力を挙げて摘発するという話も、半分は話題作りとしての役割を果たしているようだ。

 バンクシーは自身の作品があまりにも高額で取引されることを批判しており、ニューヨークでは、1枚60ドルで露天に絵を並べるという実験も行っている。ほとんどの人がまったく気にすることなく通り過ぎてしまい、その日は数点しか売れず、売上げはわずか4万円程度だったという。
 バンクシーのこうした皮肉交じりの挑戦は、アートという商品の特質をよく表している。ヨーロッパであまり評価されていなかった印象派の絵画を超高額商品に変貌させたのは、米国のアートディーラー達であった。ネットで話題になった絵画がオークションを経由すると億の価格が付き、ストリートでただ販売されただけでは60ドルの価値にしかならないというこの現実は、市場における付加価値の生まれ方の一旦をよく体現しているといえるだろう。

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