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テナントがいない?のに都市部で次々と新築ビルが建設されるのはナゼ?

 

 東京都心など、利便性の高い地域を中心に不動産の建設ラッシュが続いている。一部では建設作業員が確保できないなど人手不足が深刻になっているという。とうとうアベノミクスが効果を発揮してきたとの見方もできるが、状況を詳しく見てみると必ずしもそうではない。

 新築の不動産が次々と建設される一方で、既存の不動産の空室問題は一向に改善されていない。
 最新の統計では、東京都心におけるオフィスの空室率は7%台に低下し、2009年の水準まで改善したという。不動産業界では空室率の低下に歯止めがかかったと見ているが、これはあくまで大型物件での話である。

 空室率の統計は多くが100坪以上の大型物件を対象としており、築年数が古い小規模の物件の実態は反映されていない。小規模物件の空室状況はほとんど改善していない可能性が高く、市場全体としては、新築のビルが、古いビルからテナントを奪っているだけとなっているのだ。

 これは住居物件にも当てはまる。東京都内の高級物件は震災以降、外国人が激減したため、しばらくの間、空室問題に悩まされてきた。最近は空室はだいぶ改善しているものの、それは大幅な値引きと引き換えに実現したものである。100平方メートル以上の大型物件では、震災前の半額以下の家賃になっているところもあり、まさに「価格破壊」といってよい。
 しかもこの状況は今後も改善しない可能性が高い。都市部では新築マンションが次々に建設されており、今後賃貸に出される物件はますます増加するからである。

 テナントという実需が存在しないのに都市部の不動産ばかり建設されているわけだが、これには理由がある。日銀による量的緩和の影響である。日銀は市場に流通する国債のほとんどを買い上げ、銀行にキャッシュを供給している。銀行は国債の運用ができないので、融資を増やす必要に迫られるわけだが、これが量的緩和策の狙いのひとつでもある。強制的に企業への融資を増やし、設備投資を活性化させて、経済成長を実現させるのである。

 だが日本企業のほとんどが市場の先行きに悲観的であり、積極的な設備投資を実施していない。資金ニーズがあるのは、倒産の危険がある企業ばかりというのが実態である。そうなってくると銀行がとりあえず安心して融資できるのは、担保のある不動産だけということになり、その結果、収益の見込みがなくても、次々に大型物件が建設されることになる。

 2020年の東京オリンピック開催はこの状況をさらに加速させることになるだろう。オリンピックが終了する頃には、現在の中国と同様、テナントのいないオフィスビルや住人のいないマンションが大量に残されることになる。
 もっともこの話には半分ウソがある。都市部の不動産はオリンピック・バブル崩壊後も満室である可能性が高いのだ。なぜなら、都市部の新しい物件は、郊外や地方都市からテナントを奪うからである。空室問題が深刻になるのは、郊外の住宅地や地方都市になるだろう。

 日本は製造業が衰退しており、今後の経済成長は内需企業が担っていくことになる。だが国内市場には古い商慣行や規制が数多く残っており、これらが新しい産業の創出を阻害している。そうであればこそ、規制緩和が重要となるわけだが、安倍政権は結局のところ、規制緩和についてはそのほとんどを断念してしまった。不動産にしかお金が回らないという状況は、ある意味で当然の結果なのである。

 - 政治, 経済 ,

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