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香港でTV局新規開設をめぐってデモ。日本と香港が抱える問題には共通点が多い

 

 中国の香港で、テレビ局新設を申請した企業に特区政府が放送免許交付をしなかったことに対する激しい抗議デモが行われた。当初は免許交付の不透明性に対する反発だったが、次第に香港の民主化を主張する内容に変わりつつあり、中国当局は警戒を強めている。
 香港のデモをめぐっては、テレビ局の独占事業や、政府の透明性、情報公開の要求など、現在の日本が抱えている問題との共通点も多い。

 デモの発端は、無料放送の免許を申請していた香港電視網絡(HKTV)の申請を特区政府が却下したこと。
 香港では無料視聴できるテレビ局を2社が独占していた。今回、あらたに2社に対して放送免許を交付することが決まったが、HKTVには結局免許は下りなかった。市民はドラマ製作に力を入れるとしていた同社に大きく期待していたことから、「免許の審査過程が不透明だ」としてデモに発展した。

 免許の交付については、特区政府の要人が深く関与しているといわれており、その過程は確かに不透明な状況となっている。民主派の議員は審査過程について公開するよう主張しているが、特区政府のトップである梁振英長官は政府の秘密保持規定を理由に情報公開を拒んでいる。このため、当初は放送免許に関するデモであったものが、次第に香港の民主化運動へと状況が変化してきた。
 香港の議会にあたる立法会では、民主派の議員を中心に、立法会が持つ特別権限を行使して、特区政府に対して情報公開を要求したい意向だが、政府寄りの議員も多く状況は不透明だ。

 香港市民は主に以下の3つに対して怒りを爆発させている。ひとつは、電波は公共物であるにも関わらず特定の事業者にだけ独占的に免許が与えられているという不公正な状況、もうひとつは免許の審査過程が不透明性あること、最後は秘密保持規定を理由に情報が公開されないことである。実はこれらの問題は、現在の日本とかなり共通点がある。

 日本でも地上波という公共物がなぜか特定の数社だけに独占的に使用権が与えられおり、新規参入ができないようになっている。しかもこれらのテレビ局に独占させている明確な理由は明らかにされていない。また、特定秘密保護法案が国会に提出される予定になっているが、公文書管理法や情報公開法の改正は手つかずのままで、バランスを欠いた状態となっている。
 日本では情報管理の基準が体系立てられていないため、公務員による情報漏洩が頻発している。また逆に国民が情報公開請求をしても、重要でない情報まで黒く塗りつぶされて文書が開示され、内容をほとんど把握できないことが多いというのが現実である(本誌記事「日本の秘密保持、公文書管理、情報公開はそもそもどのような体系となっているのか」参照)。

 香港は一定の自治が認められているが、中国という非民主国家の一部である。単純な比較はできないとはいえ、そのような国と民主国家であるはずの日本が抱える問題に多くの共通点があるというのは、かなり由々しき事態といえる。

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