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国連人権理事会が中国の人権弾圧を指摘。だが中国への実質的影響はほとんどゼロ

 

 国連人権理事会は10月22日、作業部会を開催し、中国に対してチベット自治区などにおける少数民族の権利保護、言論の自由などを求めた。中国の人権問題が、国際機関による評価対象となるのは、習近平体制が発足してからはじめてのことになる。
 ただ、欧米各国は経済外交を優先し中国の人権問題を黙認する姿勢に転換していることや、同理事会の勧告には法的拘束力がないことなどから、中国に対する実質的影響はほとんどゼロである可能性が高い。

  日本代表は、チベットやウイグルなど少数民族の権利の保護、インターネットの閲覧制限などについて言及した。ポーランドの代表は表現の自由について指摘したほか、フランス代表はチベット問題について中国に現地調査を受け入れるよう求めた。

 中国側は「国を分断するような行為を受け入れることはできない」とし、チベットのデモはあくまで反体制活動であるとの立場を崩していない。だが、中国には人権上の問題が存在することは一部認めており、政府は具体的な行動を検討しているとした。中国国務院は、このタイミングに合わせて「チベットの発展と進歩」と題する報告書を発表し、チベットが経済的にめざましい発展を遂げ、住民の生活環境が向上しているとアピールしている。

 中国がどのように主張しようが、チベットをはじめとする少数民族自治区において激しい人権弾圧が行われているのは紛れもない事実である。だが現実には中国のこうした非人道的な行為は国際社会で黙認されていく可能性が高い。
 その最大の理由は欧米各国の姿勢の変化である。以前の欧米各国は中国の人権弾圧に対して厳しい姿勢で臨んでいたが、中国の圧倒的な経済力を前にその姿勢を大きく転換させている。
 口火を切ったのはドイツである。ドイツはチベット政策を黙認することで中国との友好関係を手にし、大きな経済的利益を獲得した。現在ではフランスもそれに続いており、欧州と中国の関係は年々深まっている。また米国は中国を交渉相手と見なしており、人権問題はアジア太平洋地域の安全保障に関する交渉の一材料という扱いである。
 英国だけが人権問題に対する厳しい姿勢を堅持していたが、その英国も中国に対して原発事業への資本参加を打診するなど、外交姿勢を大きく転換させている。

 日本はこれまで、欧米各国による一方的な価値観の押し付けで悩まされてきた。中国をはじめとする新興国の多くは、欧米的価値観を持たない国家であり、その結果、欧米先進国の影響力は相対的に低下している。だが欧米各国の影響力低下は、チベット問題と同様、南シナ海、東シナ海の領有権問題においても同じ事態が発生する可能性を示唆しているともいえる。
 どんなに正当な主張であっても、中国の経済力や軍事力を前に、各国が黙認してしまう事態があることを、日本は十分に認識しておく必要があるだろう。

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