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中国当局による記者拘束にメディアが抗議。党中央が容認した出来レースとの見方も

 

 中国・広東省の日刊紙「新快報」の記者が公安当局の拘束されたことに抗議し、同紙は10月23日、一面で「釈放して下さい」との異例の見出しを掲げ、記者の釈放を求めた。中国共産党は、習近平体制になって以後、言論統制を強化しているが、党中央の対応が注目されている。

 新快報の記者は10月18日午前、公安当局から呼び出しを受け拘束された。記者は令状の提示を求めたが、担当者は書類のようなものをチラっと見せただけで内容は確認できなかったという。
 記者は車に乗せられ湖南省に移送された。容疑もはっきりしていないが、湖南省長沙市に本社を置く、中国の大手重機メーカー中連重科の財務内容に関する疑惑を報じた記事が原因とみられている。新快報側は正当な取材に基づく記事であり、何ら問題はないとしている。

 中国は習近平体制発足以後、言論統制を強化している。中国共産党の最高指導部の一人で思想統制担当の劉雲山氏(党内序列ナンバー5)を中心に、マスメディア統制の施策を次々に導入してきた。最近では、記者に対して共産主義思想に関する試験を課し、合格した記者にのみ記者証を発行するという動きまで出ている。

 だが一方で、共産党幹部はマスメディアについて、庶民が持つ不満をガス抜きするための装置としても位置付けている。また、党中央の統制が地方に及ばないという現実的な問題も抱えており、マスメディアによる批判記事は形を変えた権力闘争の手段にもなっている。権力中枢に関わる本質的な批判記事は徹底的に弾圧する一方、中央政府の統制が効かない地方政府や国営企業幹部のスキャンダルについてはあえて自由に報道させているのだ。

 マスメディア側もその状況は理解しつつ、可能な範囲で批判記事を載せ、政府批判という既成事実を積み上げようとしている。まさに権力側とメディア側において、ギリギリの攻防戦が行われているといってよい。
 今回の記者拘束に対する抗議について、党中央がどの程度容認しているのかは今のところ不明である。ただ中国の主要国営メディアが新快報を擁護するトーンで報道していることを考えると、党中央はある程度、容認している可能性が高い。ちなみに報道の対象となった中連重科の株価は、一連の報道を受けて6%近く下落している。

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