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バーナンキ議長は実は市場のことを分かっていなかった?緩和縮小見送りに関する新情報

 

 9月からの量的緩和縮小という市場のコンセンサス180度ひっくり返し、市場に衝撃を与えたFRB(連邦準備制度理事会)の緩和延長決定については、バーナンキ議長らの真意がどこにあったのか、いまだに謎のままだ。だがその内実の一旦が明らかになっている。

 東京大学大学院の教授で、ニューヨーク連銀のランチミーティング参加した伊藤隆敏氏は10月25日、テレビ東京の経済番組に出演し、FRBが金利上昇という市場の反応に驚き、緩和縮小開始を躊躇したという内実を明らかにした。市場とのコミュニケーションがまったく取れていなかったという現実に市場関係者は驚いている。

 FRBのバーナンキ議長は6月のFOMC(連邦公開市場委員会)において、経済指標が良好であればという前提条件付きで、9月からの量的緩和縮小を示唆する発言を行った。
 この発言をきっかけに米国の長期金利は上昇を始めたが、市場では、金利上昇は米国経済復活の象徴であり、量的緩和の縮小がとうとうスタートするという前向きな意味でのコンセンサスとなっていた。それゆえに9月の緩和縮小延期の発表は大激震となった。
 FRBの姿勢をめぐっては、市場環境よりも雇用情勢を優先するという政治的決断があったという分析や、過激なところでは、現在のFRBメンバーの本音はガチガチのリベラルであり、市場に対する挑戦状であるというものまであった。

 だがFRBが金利上昇に驚いたという話が本当であれば、FRB側は市場を強く意識していたにも関わらず、市場とはまったく正反対のことを考えていたわけであり、市場とのコミュニケーションが取れていなかったことになる。
 もちろん市場の反応に驚いて緩和縮小を取りやめたという話は、少し状況を誇張したものだろう。実際には、思いのほか金利が上がったことや、それに対して労働市場が不完全であるというギャップを重視した結果と考えられる。だが少なくともマーケットとは全く違うことを考えていたことだけは間違いない。

 次期議長に指名されているイエレン氏は、バーナンキ議長よりもリベラルで、労働市場を重視しているといわれている。指名受諾の記者会見においても、まず最初に労働市場について言及したことからも、その姿勢は明らかである。
 ただ、今回の緩和縮小延期の決定が、市場とのボタンの掛け違いであったとすると、FRBは自らのハードルを不用意に上げてしまったことになる。この状況にイエレン氏の労働市場重視の姿勢が加わると、緩和縮小開始は先送りになる可能性が高い。市場関係者で年内の縮小開始を予測する人はほぼゼロになっている。
 だが来年の春以降ということになると、それまでの間にどのような不測の事態が発生するか分からない。出口戦略をめぐる一連の決定によって、米国の金融政策の先行きがより不透明になったことだけは確かである。

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