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原発の建設・運用を外国に丸投げする、核保有国イギリスの決断をどう考えるべきか?

 

 英国が次世代原発の運営事業に対して中国企業による過半数の出資を認めたことが大きな話題となっている。原発の運営という国家の重要インフラに中国企業を参加させることの是非についての関心が高いが、今回の決定は、英国のドライな原子力政策についても浮き彫りにしている。原子力政策のあり方について、混迷を極めている日本にとって、大いに参考になる話といえるだろう。

 今回の英国の決定は、中国との関係改善の一環として実施された。だが実際には、英国から原発の運営を受託する主体はフランス電力公社(EDF)であり、そのプロジェクトの中に中国企業が参加するという形を取っている。つまり原発の運営そのものが最初から外国企業に丸投げされているのだ。

 今回、認可されたプロジェクトは、英国サマセット州ヒンクリーポイント原発における新規の原子炉の建設と運営に関わるもの。総工費は160億ポンド(約2兆5000億円)が見込まれており、仏アレバ社の加圧水型原子炉2基を設置する予定となっている。稼働は2023年の予定。

 英国は日本やフランスと同様、以前は積極的に原子力開発を行い、核燃料サイクルの実現も目指していた。だが最近は、原発の開発はもちろん、発電所の運営についても、純粋に電力需要を賄うためのものと位置付けており、建設費用すら自前で出費するつもりはない。
 今回のプロジェクトもフランスを中心とした海外企業に建設費のすべてを負担させる代わりに、発電した電気を1,000キロワット時当たり92.5ポンドで買い取ることを保証している。これは通常の電力仕入れの2倍といわれており、確実に利益が上がることを政府が保証する代わりに、利益以外の事業リスクをすべて事業者に転嫁している。

 原子力開発の是非を議論するには、安全保障(核戦略)、エネルギー自給、コスト、危険性という4つのファクターが必要となる。英国はれっきとした核保有国だが、現在では核技術の蓄積という文脈で原子力を捉えているわけではない。すでに核技術はコモディティ化し、北朝鮮ですら核ミサイルを保有できる時代になっているからである。あくまで安定的なエネルギー供給とコストを勘案した結果が、原発運営の丸投げという選択であった。
 一方フランスは国策として原子力を掲げており、すべてを原発中心に進める方針に今のところ変更はない。米国は軍事目的と民生用は分けて考えられており、民間ではコストが高いことを理由に原発から撤退するケースが相次いでいる(本誌「コスト高から原発撤退が相次ぐ米国。簡単に原発からの撤退を決められるのはナゼ?」参照)。

 ひるがえって日本では、フランスのようにあらゆる犠牲を払っても原発を推進するほどの覚悟はないが、一方で、多くの利権が存在していることから撤退も決められないという優柔不断な状況が続いている。また原発推進の是非をめぐる議論も、上記の4つのファクターを総合的に検討することはせず、各論ばかりに終始している。危険か安全か、コストが高いか安いか、技術開発は重要かそうではないか、という水掛け論をいくら繰り返しても、まとも結論は出てこないだろう。
 英国ほどの割り切りが正解なのかは分からないが、少なくとも何を犠牲にして、何をとる方針なのかははっきりしている。福島原発という取り返しのつかない事故を起こしてしまった今ほど、日本人に論理的な決断が求められている時はない。

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